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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

淡路島 野島断層

2004年12月03日(金)

 幸田文の晩年の随筆集に「崩れ」があります。日本の山崩れ、がけ崩れなどを見て歩いた随筆です。どうしてこんなにも「崩れ」を見たいのか解らないけれども、こころ引かれる景色だと書いていました。

 その気持ちがちょっとだけわかるようになったのは、どこか身体の中に「崩れ」が起きているのでしょうか?「頭の中身だろうよ」というひそかな声も聞こえるような気もします。熊本から帰って淡路島に行きました。仕事の旅でしたが、どうして北淡町の野島断層が見たかったので、一日早く出かけました。野島断層はあの阪神大震災を引き起こした断層です。

 東西へ1・2メートルずれた断層が地表に現れた部分が樹脂加工されて保存されています。今では観光コースの一部になっていますが、やはり写真でみるのとはまったく違い迫力でした。大地は揺るがぬものの象徴とされることが多いのですが、その大地もまた生き物のように日夜動き続けている証拠を見た思いがします。それ以上にショックだったのは、地中に液状化した層があることを示すトレンチでした。

 つまり、足の下の地面がドロの体積した沼のような状態に突然なるということをそのトレンチの地層は現していました。激震は時間にすると10秒ほどだということでした。

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