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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

ワイルドな食事

2004年12月01日(水)

 スタッフルームに遊びにくるとのくんの友人さんからとてもワイルドな食事のお話を聞きました。以下コピーです。

「仕事仲間の大工さんで、狩猟が好きな方がいました。
数年まえ、山で撃って来たばかりの鹿肉を使った焼肉バーティに招かれたのですが、まだ皮と毛が付いたままで 血が滴っている肉を 包丁で切り取りながら 焼いて食べさせてくださったのには参りました。
人間は、本来、肉を食べる生き物ではないのかもしれません。
あれをビールを飲みながら旨そうに食べる感覚はちょっと、どうも。。。」

 冬は狩猟好きにはたまらない季節なんですね。私もミュンヘンで鹿肉を焼くレストランに入ったことがありますが、「どこが食べたいのか?」と質問されても答えられないので、しかもドイツ語だったので、「皆が食べている場所」と答えたことがありました。するとドイツ人の給仕は奇妙な顔をして、「皆が食べているのはここだ」と店の床を指差しました。「場所」という単語しか浮かばなかったのですが、本当は「部位」と言わなければいけなかったみたいです。鹿肉の塊がぐるぐる回りながらあぶられていました。まあ、こういうへんな客は名物料理の店には珍しくないみたいで、あとはよきは計らってくれました。

 毛と皮がついているやつねえ。それは勇気がいるでしょう。「奥山に紅葉踏み分けなく鹿のこえ聞く時ぞ秋はかなしき」ではなくて「こえ聞く時ぞ、うまそうだな」なんて人もいるのでしょう。こういう私も波打ち際にころがった鯨を見ると旨そうだなと思うほうです。怒る人がいるかもしれないけど。

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