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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

ビロードのうさぎ

2007年05月02日(水)

 池袋のリブロの児童書の売り場の前を歩いていて、ショーウィンドに「ビロードのうさぎ」があるのを見つけました。「ビロードのうさぎ」ってあの「ビロードのうさぎ」かしら?と思わず店内に入ってしまいました。まさしくあのビロードのうさぎでした。クリスマスにプレゼントされたビロードのうさぎ。で、プレゼントされた男の子の良い友達になるのですが、男の子が熱病にかかって命を落としかけます。男の子は無事回復するのですが、ばい菌がたくさんついているだろうビロードのうさぎはそのほかの持ち物と一緒に焼き払われることになるという物語です。

 ブロンズ新社というところから出た本で、抄訳と絵は1966年生まれの酒井駒子さんという人です。だから私が持っていた「ビロードのうさぎ」とはまった違う本ですが、買ってしまいました。孫と読むぞ!いや、ちょっと気が早い感じもしますが。この本、うちの子供たちが小さい時に探したのですが、どこにもありませんでした。それから自分の持っていたはずの「ビロードのうさぎ」ですが、こっちは記憶が怪しいのです。どこの版元のどんな本だったか覚えていないにもかかわらず、絵柄の感じがぼんやりと頭の中に残っています。だから、自分の本ではなくてともだちの家で見た本なのかもしれません。あるいは幼稚園にあった本かな?とも考えてみるのですが、それも定かではないのです。どこで読んだのか場所の記憶が消えている本です。子どもの時い読んだ絵本で場所の記憶が消えている本というのは、私にとってはかなり珍しいものです。

 池袋へは共同通信から依頼されたコラムを書くために新潮文庫の「室生犀星詩集」を買いに言ったのです。25歳くらいの時に、中学生、高校生の時、読んだ本をいっぺんに処分してしまったことがあります。室生犀星詩集もその時に古本屋さんに売り払ってしまった一冊ですが(集英社のシリーズものの一冊の室生犀星集は売り払わずに今でも持っています)なんだかこのごろ、中学生の時高校生の時に読んだ本をまとめて読みたくなっているのです。ついでに新潮文庫で堀口大學訳の「青い麦」も買ってきました。これも中学生の時に読んだ本。というか、それで小説を書き出したという本です。こちらは週間新潮のコラムのため。表紙が昔と同じ緑色をしていました。それで帰りに「ビロードのうさぎ」に呼び止められたというわけです。この本は2007年の4月に出たばかりの本なのに、どうしたわけか慨視感があります。なんでだろう?

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