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坂村健先生に会う
2007年04月23日(月)
久しぶりに、たぶん1年ぶりか2年ぶりか、坂村健先生にお目にかかりました。お元気で、今度はコンピューターの話はなしでもっぱらワイン談義でした。そこで話題になったのが「スシポリス」問題。日本の農水省が「正しい」日本食レストランを認定しようとしたところ、アメリカのマスコミから「スシポリス」と揶揄された一件です。坂村先生は毎日新聞のコラムでこの騒動に触れていて、そのコピーをいただきました。
私も「正しい」日本食を農水省が認定するというニュースをネットで見ていました。農水省は「スシポリス」と揶揄されてトーンダウンしてしまいましたが、正直言って食べ物に「正しい」というのはややずれた発想だなと思いました。食べ物なのだから「おいしい」でしょう。もっとも、農水省が考えていたのは「正統派」の日本食ということのようでした。「オーソドックス」ということでいえば「正しい」よりも「正統派」とか「純粋な」とか「直伝の」とか、いろいろな言い方があったはずです。非難されたら、それは説明の良い機会だと考えるような柔軟性がほしいなあと思いました。で「正統派」の日本食も楽しむし、伊藤比呂美さんのお気に入りのカルフォルニア巻きのような日本食から発生したバリエーションも楽しむという感じを生み出せばいいのです。でも○か×かという発想が裏に感じられたので、なんだかいやだなあって感じがしました。
「オーソドックス」も「バリエーション」も楽しむという点では坂村先生と意見は完全に一致しました。つまり○か×かではないのです。坂村先生も毎日新聞のコラムに書いてましたが、基準というものについての感じ方がなんだか○か×かになってしまいがちです。そう言えば、○×式大学入試の弊害なんてことが言われたのは1951年生まれの坂村先生が大学入試を受けた頃ではないでしょうか?今頃になってほんとうにその弊害が出ているのかもしれません。なんて話にはならずに、話題はひたすらどうやって、さまざまな味わいを楽しむかという方向へ行きました。いや、ほんとうに楽しい一夜でした。ワインの香りについてのお話もおもしろかったし、いかに日本の和食がフランスのニューベルキュイジーヌの料理に影響を与えたかという話題も愉快でした。終いには日本食に造詣の深い外国人を表彰しちゃおうってな話にまで発展。
その日本食、いわゆる和食ですが、大正時代にものすごくフランス料理の影響を受けたのです。時代はめぐっていて、相互に良い影響をしあうというような感じになっているのでしょう。そういう現実の共同作業を役にたって、しかも人を楽しくするような、そういう政策をやってほしいんですけど。無理だとは言いません。きっとこれからいろんな意味で贅沢を知って世代がお役所の上のほうのデスクに座るようになったら実現するでしょう。
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