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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

コスモス

2006年09月28日(木)

 コスモスはおばけのように大きくなる株を持っている花です。で、子どもの時の話ですが、近所のおばさんがコスモスの株を憎憎しげに抜いていたのを思い出します。「こんなもん、はびこっちゃってしょうがない」って言っていました。花がたくさん咲いている株は無理やりに抜いていたのです。

 なんだか、もうすごく無残なものを見せられるようで今でも秋になるとその光景を思い出さずにはいられません。ええと、何がいいたいのかというと、ただただ痛ましい気がします。コスモスがではなくて、花をいっぱいつけたコスモスを抜く人の気持ちがなんとも言えず、ざらざらした感触になって私の胸の中に残っています。

 雑草はどんどん伸びるものですから、その草取りはたいへんな仕事で、大きな株になったコスモスを憎む気持ちも想像してみることは大人になるとできないことではありませんが、それざもやっぱり「ざらざら」は残ります。荒地でも大きな株に育つ旺盛な生活力と可憐な花が風にそよぐ姿のアンバランスを憎んでいたのかしらと、「ざらざら」しながら考え込んでしまうことがあります。昨日は雨。今日は良いお天気になりました。

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