中沢けい公式サイト 豆畑の友
ホーム プロフィール・著作リスト 中沢けいへの100の質問 中沢けいコラム「豆の葉」 お問い合わせ
中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

漢字を間違えちゃいけないね

2006年09月17日(日)

 40年ぶりに大船の「大船観音」に行ってみました。40年ぶりと言っても、前に行ったのはバスを使った幼稚園の遠足でした。その頃はバスに乗ると必ず酔ってしまうので、バスの中では例によって気絶(寝てしまうこと)していたのだと思います。大船観音は駅前にあったという記憶しかありません。肝心の大船観音の記憶はまったく消えてしまっています。

 電車の中大船駅からはいつも眺めている笑みを浮かべた白い観音様です。駅を出ると川の匂いがしました。この川の匂いを覚えているのはきっとバスの中で気絶していてぼうっとした頭で「ここはどこ?」とあたりを眺めまわしていたせいでしょう。法政のゼミ生が一緒だったのですが、そのなかの一人が「あの観音様は顔だけがでかくて身体は小さいんだぞ」と冗談を言ってました。で、実際に山に登ってみると(観音様は山の上に建っているのです)それは胸像、つまり胸から上が唐突に鎮座している観音像でした。N君の冗談は半分くらい「当たり」だったというわけです。

 階段にはさまざまな人の祈願を書いた幟がはためいていました。「身体堅固 良縁」なんて文字があって、身体が丈夫で良いお嫁さんが来ますようになんて、なんだかちょっとおもしろいねと、ゼミ生の女性に言うと「でも先生、これって良縁じゃなくて縁(えん)の字が緑(みどり)になってますよ」と指摘。ほんと「良緑」でした。「きっと良い緑さんがお嫁さんにくるんだよ」とか「いやいや、庭の植木がどんどん丈夫になって茂るようになっちゃうんだよ」とか「光合成のできる立派な身体になるんだよ」などなど、みんな、勝手なことを言っていました。やれやれ。漢字を間違えるとたいへんなことになるみたいです。

↓前の日記 / 次の日記↑

   
談話室 リンク集「豆の茎」 メルマガ「豆蔵通信」 サイトマップ