|
|
|
|
|
|
プロ野球ストライキ
2004年09月19日(日)
特別な野球ファンでもないくせに、プロ野球のストライキには自分でもおかしいと思うくらい興味を持っています。そして古田がんばれという心境になっています。
昨日、パック・イン・ジャーナルでストライキについて話ましたが、それで、この問題に興味を持った理由が少しわかるような気がしました。
プロ野球は新聞やテレビという20世紀のマスコミとともに歩んできたプロスポーツです。ネット時代に入って新聞やテレビは、これからの行き方に悩んでいます。それとプロ野球のリーグ再編問題がダブって見えているのです。
話の方向が少し変わりますが、ネット時代に入って、よく良質のコンテンツが求められているという話を聞きます。スポーツは音楽と並んで言葉の壁が低い分野です。ですからオリンピックなども成り立つわけです。スポーツというコンテンツはグローバルな性質を持つネットには向いている分野です。
野球に限って考えれば日本のプロ野球はすでに70年の歴史を持ったいるわけで、これをネット時代の良質なコンテンツにする工夫をすれば、日本の重要な産業のひとつに育てることもできるでしょう。現在の経営者側の言い分はパ・リーグの赤字をどう解消するかという発想ですが、そこにネット時代のコンテンツを育てるという発想はみじんもありません。現在の観客をよろこばせようとするサービス精神さえ感じられないのですから当然ですが。
スポーツ選手はお金をかければ数年で優秀な選手を育てることはできます。かつての共産圏がオリンピックで金メダルをたくさん獲ったことでもそれは証明されています。しかし、しんにスポーツを愛する良い観客はそう簡単には育てられないのです。良質な観客は質の高い試合を生み出し、名場面を作る証言者になって行きます。ですから、良質な観客がいるということが、ネットの良質なコンテンツを生み出す条件になってくるのです。単純に勝ったからうれしい、負けたから悔しいでは、それほどの詳細情報を必要とはしません。試合の多様な楽しみ方を知っている観客こそが詳細情報を欲しいと思うのです。
試合の見方を知っていてマナーを守り、愉快な観戦をする観客を育てるのはむずかしいなあと思ったのは先日の中国でのサッカーのアジアカップの時もそうでした。観客は意図的に育てるわけには行かないのです。自然に育ってくるのをしんぼう強く待つしかないのです。
そういう優れた観客を持っているのは、日本が70年かかって築き上げてきた財産でしょう。日本のように経済成長をしてしまった国が、次に育成すべき産業はソフト産業だと言われています。プロスポーツはまさにソフト産業であって、そこを大事にして欲しいのです。何事にも一日の長(ちょう)というものがありますが、近代工業社会の高度成長をすでに経験してしまった日本の一日の長の一端は、プロスポーツの優れた観客がいるというてんにあると思います。
選手会の思いはプロ野球を衰退させたくないというところにあります。それを情緒的感情的だという批判もあるのは承知しています。しかし、芸術やソフト産業それに興行の世界は情緒や感情にうったえて、利益を上げているわけです。ですから、私の目には選手会のほうが経営感覚があるように見えるのです。もちろん、選手には経営の技術はないかもしれません。経営の技術で選手を支えるのが興行の世界の経営者なのではないでしょうか。
↓前の日記
/ 次の日記↑
|
|
|
|
|
|
|
|
|