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プロ野球球団の経営責任
2004年09月20日(月)
こだわってしまいますが、プロ野球のストライキでなんだかヘンだなと思っていたのは、球団の経営責任について誰も何も言わないことです。そもそもパリーグが赤字で規模を縮小しようとしたことからこのストライキが始まっています。
で、もし球団経営が赤字であるとすれば、その責任は選手にあるのではなくて経営者にあるのです。選手は毎年の契約更新の時に試合の成績を問われています。それは選手の仕事が野球をすることだからです。経営者は球団の財政を黒字にするか、もしくはとんとんに採算がとれるようにするか、最低でも赤字の幅を小さくするのが仕事です。もし、それがうまく行かなければ、シーズン中の成績が悪かった選手と同じように責任を問われるべきです。
経営者はその仕事がうまくいかなかったからこそ縮小を考えたのです。確かに縮小もひとつの方法ではあります。が、その時、経営者は経営責任を問われるべきです。その経営者側が、まだストライキが決行される前から経営者側は損害賠償を求めると言っていました。損害賠償を求めると言うのでは経営者側はまったくの被害者になってしまい、そもそもの経営責任を放棄したにも等しいことになります。
リーグの縮小は経営事項であって、労働基準法で正当なストライキの権利を認められた雇用問題ではないからというのが、損害賠償を求める根拠になっています。それは、選手に対しての経営責任を負っている球団の経営の失敗はまったく無視した考えかたと言わなければなりません。こんな理屈が通るなら、プロ野球だけの問題ではなくなってしまいます。うまく言えませんが、資本主義の社会の根幹を揺るがすようなルール無視をそこに感じます。もし、縮小よりも他に方法がないとしても、それを納得させるだけの説明と情報の開示が必要になります。そうした経営者側の責任を果たさずに、交渉の最中に損害賠償という言葉が出てくるのは誠実な対応とは言えません。
損害賠償という言葉が出てくるのは、球団経営者は金を出す側、選手は金を出してもらう側という発想に縛られているという感じがするのです。しかしほんとうにプロ野球にお金を出しているのは、観客です。もしそれがスポンサーによる提供であったとしても、観客はスポンサーの商品を買うとか、電車に乗るという形でお金を出しているのです。そこで、経営者は球団の黒字経営をする努力をするのがお金を出してくれた人に対する仕事であり、選手はおもしろい試合を見せるのが仕事なのです。
ストライキをした選手はファンサービスをし、ファンにストライキへの理解を求めました。しかし、球団経営者側はテレビや新聞が伝える限り、ストライキという結果を招いてしまったことを詫びる態度は示していません。あの読売新聞でさえ、球団経営者側がそうした態度を示したことを報道していないのですから、たぶん、そんな態度は示していないのでしょう。ストライキは本来、経営者の責任を問うものなのです。そのような視点が欠落した報道が多いので、なんだかもやもやしていたのです。
昨日のサンデープロジェクトで野村克也氏が「今まで何もしてこなかった漬けが回った」と言っていましたが、それは経営責任のことを具体的には指し示しているのだと思います。
法律上の解釈以前に経営の失敗を無視して選手会側に損害賠償を求めるようなことを球団がするとすればこんなモラルハザードな話はほかにないと思います。
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