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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

隠れ家と暖かい雨

2006年07月14日(金)

 飯田橋に隠れ家みたいな場所を見つけました。銀嶺ホールが見えるところです。でも、外堀通りからこちらは見えません。喫茶店のテラスと言っても植え込みで往来からは隠れています。ずっと内緒にしておきたかったんだけど、ちょっとだけ人に教えてしまいました。

 学校の研究室の鍵を受付に返して外に出てみると、図書館の前のアスファルトが黒く濡れていました。おや?雨が降ったのかしら?と空を見上げたら、雨が降ったのではなくて、大粒の暖かい雨がぽつんぽつんと降っている最中でした。モームの短編小説に出てくるような雨。
昨日も夕方、同じくらいの時間にやはり暖かい雨が降っていました。夕立というには、少々思い切りの悪い雨です。寄り道をしようか、それともまっすぐに家に帰ろうか、考え考え暖かい雨の中を歩いていました。

 地下鉄じゃなかったら、まっすぐに家に帰るところなのですが、地下鉄だと陽が沈んで行く夕暮れの空を眺めることができないので、それが詰まらないんです。日暮れの空と街を見ているのが好きです。思い切りが悪い暖かい雨がぽつんぽつんと降っている街の夕闇の中に溶け込んでしまいそうになりながら、街を見ていると、理由なく楽しい気がします。

 それで例の隠れ家から外堀どおりの日暮れを眺めていよういう気になりました。

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