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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

ジダンは何を言われたのか

2006年07月11日(火)

 四年前のワールドカップの時、四年後は息子や娘たちも大学を卒業するだろうからワールドカップをドイツまで見に行きたいなと思っていました。4年たったら、それどころではないほど、忙しくなってました。(やれやれ)とは言え、私はそれほどのサッカーファンではありません。にわかファンと軽蔑される程度の観戦者です。
 ワールドカップの時に売り出される応援用タオルはコレクションしていますが……。

 そこで、いつも試合が終わると星野智幸さんのHPを見て、その感想を楽しみにしています。今回の決勝戦では前半をライブで見てから、翌日の予定があったので、後半は寝てしまいました。というか、前半も試合の開始時間を一時間ほど間違えていました。ネットで試合開始を知って、あわてて、テレビをつけるとフランスのアンリがピッチにのびていました。これはそうとうな激しい試合だなと、その場面で思っていました。
 そうそう、アンリが気付けに茶色い小さな小瓶から何かの匂いを嗅がせてもらっている場面では、19世紀の小説に出てくるような場面を見ているような気がしました。いったいどんな匂いをかいでいたんでしょう?

 それで目が覚めてみるとジダンのレッドカード退場です。今日のニュースでもジダンが何を言われたのか?がかなり詮索されていました。星野さんはホームページでジダンの「狂気」と書いてました。そう「狂気」なのかもいしれません。サッカーがわからない私がそう書くと笑われるかもしれませんが、あのシーンを見ると神がかり的な精神の集中の中に訪れる「あらぶる神」みたいなものを感じます。

 ジダンはキリスト教徒かもしれませんが、日本の神様は柔らかいニギミタマと荒々しいアラミタマがあると考えられているのだそうです。で、ジダンとは関係なしに考えてみるとああいう場面ではアラミタマが人間の目にも見えるような形で現れる気がしました。極度の集中が生み出す「アラミタマ」が星野さんのいう「狂気」なのではないでしょうか?

 そういう私は4月からいささか登校拒否ぎみで、同時に「アラミタマ」不足を感じています。エネルギーの不足ではなくて、仕事に集中するための核のようなものがちょっと不足気味です。そのせいか、ジダン選手の「アラミタマ」が羨ましく見えます。サッカーの神様に愛されている男と言われているジダン選手ですが、神様の愛し方が少々荒っぽすぎたのでしょう。暴力による退場でもそういう神々しいものをなんとなくあの場面から感じてしまいました。

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