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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

新聞は北越雪譜だらけ

2006年01月15日(日)

 金曜日に雑談をしていて「ここのところ、新聞のコラムや短信欄は北越雪譜だらけ」という話になりました。確かに私も北越雪譜からの引用のコラムをいくつか見ました。天麩羅のくだりを引用しているのはありませんでしたが、そんなことは自慢にならないし、みんなおんなじことを考えるのだなあと、ややしょぼん。

 雪の中で怖いものは「洪水」「火事」そして天麩羅の次に出てくる「狼」なのだそうです。「雪中洪水」の章には、リアルな挿絵もあります。この挿絵をリアルだと感じるようになったのは、数年前に青森で、じっさいの雪の溶ける様子を見てからでした。真冬のさなかの晴れた日の雪解け水の凄まじさは、想像以上のものがありました。青森空港は山の上にあるのですが、その空港へ向かう坂道を雪解け水がざあざあと流れているのです。毎日毎日雪模様の空が続いていたのが、やっと晴れて青い空が見えたと思ったら、こんどは白い雪がきらきら光る冷たい水になってざあざあと流れ出すのです。

 北越雪譜が恐ろしいものとしている「洪水」「火事」「狼」のうち、なくなったものは「狼」だけです。

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