|
|
|
|
|
|
桜吹雪から苗物が並ぶまで
2011年04月21日(木)
3ヶ月ぶりに大阪に行きました。中央線経由で東京に帰ってきて以来です。今年は寄り道や道草をしたいなあと、お正月にはそんなことを考えていましたが、鬼はさぞかし笑っていたことでしょう。いや、笑っていたのは鯰のほうかしら。東京はちょっとした冗談を言うにも神経を使うようなところがあります。久しぶりの大阪でそれを改めて実感。東京のぴりぴりした空気から、しばし抜け出すことができた大阪でした。
いつもの大阪でしばらくのんびりしていたいなあという願望と、早く関東に戻らないと何が起きるか解らないという不安がまだら模様になっていました。大阪の桜もそろそろお終いの季節。京都の八重桜はそろそろ咲き始めるか? 仁和寺の桜は? と寄り道道草にはことかかない季節ですが、照明がちょっと暗めの関東に駆け戻ってきました。大阪芸術大学の大学院の諸君と、花吹雪を眺めたのがめっけもの。花吹雪が見事なのをぼんやり眺めていたら、みんなの頭にも桜の花びらが降り注いで、花びらだらけ。それから宮城に御実家があるという学生から地震のときの様子を聞きました。
苗物が出回る季節になりました。昨年は連休前になっても、朝顔や茄子、胡瓜といった当たり前の苗物が少しも出てこない寒いいやな春でしたが、今年は天候のほうはまともで、ちゃんと苗物が出回っています。地震と津波だけなら、こうした季節の恵みをありがたく感じられるのですが、原発事故が、そういう気持ちにさせてくれません。あんまり苦く、皮肉な気持ちにならないようにしていますが。
イサク・ディネセンの『アフリカの日々』を読み出しました。晶文社からディネセン・コレクションが出た時にはたいへん評判になっていた本です。私が今読んでいるのは河出書房新社の世界文学全集。チュツオーラの「やし酒飲み」と一緒の巻に収録されています。欧米偏重であった文学紹介がアフリカや南米の文学も翻訳されるようになった80年代からの成果がひとまとめになっている全集です。高樹のぶ子編アジア文学ベストセレクション『天国の風』(新潮社)は地震の前に読書人から書評を書くように依頼されていた本ですが、こちらもなかなか楽しい本です。ベトナム、フィリピン、台湾、韓国、中国、インドネシア、モンゴル、タイ、インド、マレーシア。とこう書くだけで、アジアはなんと広く多様であるのだろうと感嘆したくなります。それにしても、欧米からアフリカ、南米へと広がった関心がアジアへと繋がるまでの30年間のことを考えてしまいます。近くのアジアではなく、遠くのアフリカと南米へとまず関心が向かったのはなぜなのでしょう。
『書評 時評 本の話』はいろんな方からお手紙で感想をいただいたり、お電話をいただいたりしています。
ベランダでは化学肥料を使わなければならないので、パセリやピーマンを植えるのは、心理的に抵抗があります。昨年、叔母の家でゴーヤを観賞用に育てているのを見せてもらったら、小さな実がたくさんついてました。お土産屋さんで売っているキーホルダーか携帯ストラップくらいの大きさの実。今年は観賞用にゴーヤを植えましょう。それから、なんだかとぼけた風船蔓もいいかな。聖書に、夕べに炉に投げ込まれる野のゆりも、美しく咲いているという話がありましたが、それが妙に切実に感じられる東京郊外です。
↓前の日記
/ 次の日記↑
|
|
|
|
|
|
|
|
|