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カーネーション、ユリ、ユリ、バラ
2014年04月03日(木)
テイト・ギャラリーで、つれあいが友人と会って、それから仕事の打ち合わせというのでいっしょにいって、ギャラリーの喫茶店でビール飲んでたら(ドイツ風の小麦ビア、やっぱペールエールにすればよかったと後悔した)、VAの旧友という男が通りかかり、話し込み、そこに約束していた友人夫婦(アーティスト)が来て、みんなで話して、それからつれあいは打ち合わせにいった。で、あたしは急いで、閉館まで30分で館内を回ったのである。いちばん古い部屋に飛び込み、そこから探していくつもりだった。ターナーよりもブレイクよりもベーコンよりも、見たかったのは前に父のもってた画集にのってた絵だ。感傷的な、漫画みたいな(大島弓子や山岸凉子)絵だと思いながら、漫画好きだし、その雰囲気に息をのんだ。頭にずっと残っていた。前にちょっとつれあいにその絵について話したら、けっあんなものーみたいなこと言われてそれ以来、その絵のことは黙っていた。だからつれあいがいないのをコレ幸いと、つれあいの友人たちが案内してくれようというのも断って(彼らもアーティストだから何いわれるかわかんないと思った)ひとりで探していたら、たまたま「イギリス絵画の来た道」みたいな展示があった。その中にその絵の小さい画像があった。Sargentという画家で、19世紀のおわりにそれを描いた。それで係の人に、ユリと女の子の絵を描いたSargentはどこですかと聞くと、あそこだと、あたしたちのいた、その部屋の向こう側にかかっている絵を指さした。それがそれだった。前に見たときは、ユリばかり心に残ったが、こうして見ると、ユリとバラとカーネーションがあった。油絵の具の大きな筆で、一見雑に、ちゃっちゃっと描いてあるのに、カーネーションは茎も株も、実にナデシコ科であった。ナデシコ科らしくばさっばさっと茎が乱れ生え出ていた。提灯は日本の提灯で、ユリもなんと日本のヤマユリだ。ヤマユリにしては点々が薄かったが形はたしかにヤマユリだ。ユリ科やナデシコ科の葉や草の一本一本が正確に読み取れた。ヤマユリの香りが絵から読み取れた。夜の湿度や、女の子のうなじのうぶ毛まで読み取れた。そしてその絵のタイトルは「カーネーション、ユリ、ユリ、バラ」というのだった。
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