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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

ルター派教会

2013年12月15日(日)

今朝はIさんにくっついて近所の教会にいった。Iさんの通っているルター派の教会で、ベルリンでも1、2を争うほど古いそうだ。土台のあたりは1200年代にできたそうだ。つまりその頃はルターでもプロテスタントでもカトリックというか「普遍的な」「ふつうの」キリスト教の教会だったわけだ。今日は特別な日でIさんが堅信礼というのか、バーミツヴァみたいなもの、を受けてから50周年だから特別な儀式をやった。Iさんのほかにも50周年が二人、70周年が二人いた。Iさんにつれられて入っていくと、もう何人かがいて教会の牧師さん(というのか?)たちが、黒板みたいなところに数字を置き換えていた。運転手役で連れてきてくれた夫のSさん(日本人)が「異教徒だってわかっちゃったら、これからキリスト教徒になるつもりなんですっていうんだよ」とか「みんながおいのり始めたらちゃんと親指かくして」とかさんざんからかって自分は帰った(Sさんは教会に行かないんだそうだ、それはそれでよくわかる)。教会の内部は別に火の気が無かったが寒くはなかった。壁に浮き出しているはげかけた絵がいかにも古そうだった。椅子の状態は、四角くて閉じていて、なんとなくベルリンの地下鉄の内部みたいな感じ。鐘が鳴り始め、フェイドアウトしたら、オルガニストがパイプオルガンを弾き始めた。そして堅信礼記念の人々が入場した。すべてドイツ語だったのでもちろんよくわからなかったが、まあそんなものだ。さすがにルター派で、よく歌った。ぜんぶで、黒板にかいてあるのだけでも8曲、あと短い、あたしは知らないがみんなが知ってるのを歌っていたから10曲は歌ったと思う(あとで式次第をみせてもらったら、もっとだ。カトリックの典礼にあるようなキリエとかそういうのをいくつも歌って、そのあいだに賛美歌が8曲はさまったのだ)。そのあいだに黒い長い服に胸に白いリボンみたいなのをつけた牧師さんがお説教をした。最後のほうで、牧師さんがウェハースを見せて何かいうと、人々が前に集まった。かぞえてみれば35人くらいはいたと思う。出ていかない人も、何人かいた。そして輪になって牧師さんがウェハースを配った。食べる人も食べない人もいた。それから大きな金属の台つきカップをまわした。飲む人もいれば(まるで茶の湯みたいに次の人にまわした)さっきもらったウエハースを浸して食べる人もいた(もともとは飲むのだが、このごろは衛生的に浸して食べる人も多い、アングロサクソンの影響かもとあとで見習いの牧師さんがいっていた)そして手をつないでお互いに顔をみあわせてねぎらいあった。そして牧師さんがマイクの前で何か唱えて十字を切っておしまいだ。最後にオルガンが「主よ、人の望みの喜びよ」を演奏した。こういうふうにしてバッハが何か弾いた教会もあったのだなと思うとちょースリリング。

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