中沢けい公式サイト 豆畑の友
ホーム プロフィール・著作リスト 中沢けいへの100の質問 中沢けいコラム「豆の葉」 お問い合わせ
伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

たどたどしくひらがなで書く名前

2012年06月29日(金)

で、そうやって頼まれた「かな五十音」をかいたあと、「いとうひろみ」を書いてみた。「い」は「以」で書きやすい。「と」は「止」で将棋の「歩」みたいである。「う」は宇宙の「宇」で(大島弓子の漫画にそういうのがあった、ヒロインの名前が「宇さん」というのだ)手足をのばせる。「ひ」は左側の「ヒ」で収縮し右側の「ヒ」で脱力する。「ろ」、これがあたしの中心だ。おもいっきりやぶれかぶれにカクカクと「口」を二つ、つないでやる。「み」はわけわかんないのでわけわかんないままにほうりだしておく。自分の名前、うまれてこのかた、口にはさんざん出して名乗ってきたし、ハンコも作ったし、おしてきたし、漢字でもローマ字でもいっぱい書いてきた(こっちはサイン文化である)、そもそも漢字のかけなかったときはひらがなで書いていたわけだけど、この今持っている物心がついてから、はじめて、自分に、しみじみと向き合ったという感じがする……(いや、ほんとうは、ずっといつも四六時中向き合っているので、ことばのあやというやつかもしれない)。

↓前の日記 / 次の日記↑

   
談話室 リンク集「豆の茎」 メルマガ「豆蔵通信」 サイトマップ