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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

鎮魂

2012年01月09日(月)

注文しておいたケセン語訳聖書の「ルカ」と「ヨハネ」がとどいていたので持って帰ってきた。いま、それをiTunesに入れておる。これで「マタイ」「マルコ」「ルカ」「ヨハネ」とぜんぶ揃った。しかしタイトルの頭に番号を振らないとあとでめちゃくちゃな順番になるので、手動でぜんぶ振っている。すごい手間がかかるけど、必須だから。ヨハネはほんとは「完売しました」とかいてあったけど、「かなり汚れてますし箱もありませんが、それでよければ」と出版社のE-PIXの人が売ってくれた。実は「ルカ」はもっと汚れていて、本が反っているし、ページも濡れて乾いてゆがんでいる。「マルコ」も表紙がハゲている。でもこれだけが、あたしがこの手で実感し得たあの大震災だ。この本たちがかぶった波や恐怖、救い出した人の手をひしひしと感じるのである。それをこんどはあたしの手で、ひとつひとつ、iTunesに入力しながら、ひとつひとつ聞いている。震災の直後にI牟礼さんにこの本のことを聞いた。Y原さんの企画した「言葉を信じる」のことでI澤さんとやりとりするうちにまた聞いた。それで「マタイ」を注文したのが4月18日、手元にとどいたのが22日か23日だ。それ以来、この声を、ずーっと聞きつづけてきた。そしてまだ聞いている。

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