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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

夜の海

2009年03月22日(日)

 3月の初めには熊本近代文学館の庭のこぶしが真っ白に咲いていました。楠に巻きつくテイカカズラには実がなっていました。テイカカズラに無花果のような実がつくのを伊藤比呂美さんに教えてもらいました。東京でもこぶしは白い花をたくさんつけるようになりました。桜も咲き出しました。今日は春の嵐。空には黒くもが、風がびゅんびゅん吹いています。でもすごく暖かです。

 瀬戸内海を行くフェリーの話の続き。乗っていたのはトラックやトレイラーの運転手さん。それから、対外試合に行く様子の運動部の生徒たち。船内には大浴場があって、夕食後で混雑していました。それに、ビュッフェ式の食堂。こちらもけっこう人が入っていました。食堂は夜は21時まで、朝は5時から営業していました。

 瀬戸内海は波のない静かな海ですから、船が進んでもほとんど揺れることはありませんでした。この晩の海は一面の霧。霧の中にぼんやりと陸地の灯が見えました。私は個室をとってあったので、試合に行く高校生たちとはちょっと離れた船室でゆらりゆらりと揺られて白河夜船。以前、五島列島に行った時も、博多から夜の船に揺られて行ったことを思い出しました。瀬戸内海から九州沿岸は今でも、船便がけっこう活躍している様子です。

 船室の壁にサイドブレーキの引き忘れによる重大事故が多発しているという掲示がありました。国土交通省が出したもので、死亡事故の実例が書いてありました。慣れた作業でも、注意を怠らずにという通達でした。

 静かに航海を続けて朝焼けの大阪に。昨年から大阪芸術大学へ通っているので、大阪港が見えてくると半分、帰ってきたような気がしました。街の向こうに山並みが見ていました。大阪港からは地下鉄で(今度はほんとに地下鉄です(笑))新大阪へ。

 私が乗った船は博多から大阪までノンストップの船でしたが、沿岸の港に寄港する船は夕刻でも早い時刻に出船するようでした。夏の日の長い時にそちらに乗船すれば、瀬戸内海の夕景色を楽しむこともできるようです。

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