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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

蓬ヶ島

2008年06月04日(水)

 虎屋に「蓬ヶ島」というお菓子があります。大きなお饅頭の中に小さなお饅頭が入っているお菓子です。小さなお饅頭は5個入っているものと、7個入っているものがあります。小さなお饅頭のあんこの色は、それぞれ別の色をしています。7個の小さなお饅頭の入ったものは、全体で1キロあるそうです。注文で作るお菓子で、一度、作ってみたいと思っていました。

 今年の春、姪っ子が中学生に、甥っ子が高校生になりました。そのお祝いに「蓬ヶ島」を注文しました。小さい饅頭7個いりは少し大きすぎる気がしたので、5個いりにしました。真っ白なお饅頭が箱いっぱいに入っていました。勿論、一人でこの巨大なお饅頭を食べるわけには行きませんから、切り分けることになります。切り口には3個のお饅頭が見えるということに甥っ子が妙味を持って、なせ3個しか見えないのかと説明してみようと考えはじめました。

 小さいお饅頭でさえ、ふつうのお饅頭と同じくらいの大きさがあります。これを4つ並べて、その上にひとつお饅頭を置き、全体をあんこで覆い、さらに白いお饅頭の皮で覆われているというものです。だから切り口は3個しかお饅頭は見えないのですけど、甥っ子は斜めに切ればもっと見える位置があるのでは?とかいろいろ考えていました。お饅頭の下のほうを切れば4個の小さいお饅頭が見える位置がありますが「それじゃあ、反則みたいな気がする」ということで、逆にまったくお饅頭が見えない切り方もあることに気づいたり、なんだかお饅頭というよりもパズルみたいな感じで楽しみました。

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