|
|
|
|
|
|
12月の銀杏の木
2007年12月17日(月)
ネットで皇太子妃が紅葉狩りという記事を見つけて「おや?」と思いました。記事を読んでみると、神宮外苑の銀杏並木の下をお散歩されたという内容でした。今年は11月中旬に、急に冷え込んで思いのほか、銀杏も欅も桜も美しい色に染まりました。
飯田橋から市ヶ谷に続く土手では、さすがに桜の葉はみんな落ちてしまいましたが、まだ銀杏だけは、いくらか黄色い葉が枝に残っています。池袋に買い物に行った娘が「お母さん、12月も半ばなのに銀杏が黄金色なのはヘンだよ」と言っていました。会社のある日は銀杏並木をつくづくと眺める閑もなかったから、それに気づかなかったということでした。
95年の秋に、東京競馬場で行われた天皇賞のレースを知人と見物した帰り、みごとな銀杏並木の下を歩いたことがあります。夜空に黄金色が輝くようでした。オウム事件で大騒ぎの年で、事件のことを話題にしながら銀杏並木の下を歩いていたのでした。私が子どもの頃は、11月の御酉様というと、毛皮のコートを着た女性もいて、なんだか熊みたいだなと眺めていました。それだけ寒かったということです。95年からおよそ12年で2ヶ月、紅葉がずれたとすると、あと10年たったら、紅葉に2月頃になる計算ですねと、ある教室で言ったら、聞いていた人たちが大笑いをしていました。2月の紅葉ってのは、想像しただけで笑い出したくなるようなところがあるみたいです。
たぶん2月まで紅葉がずれ込む前に、亜熱帯の植物が野山を占領してしまうでしょう。植物の旺盛な生命力は住みやすい土地を求めて、移動してくるでしょう。鳥とか虫の力を駆りながら、どんどん北上するのではないでしょうか。植物は何にも言わないけれども、もくもくと新天地を切り開いてしまいます。きっとバナナなんかも手近なところで栽培できるようになっているかもしれません。だって春の桜の方はここ数年、卒業式には咲いているというのが当たり前になってきているのですから。
まだ小学校に通っている頃、NHKの朝の番組で、東京都内をいろんな人が散歩するというのがあって、そこに詩人の新川和江さんが出演していたことがありました。落ち葉を踏んで歩くというテーマだったと思います。新川さんは「銀杏の落ち葉は湿っているから、ひらがなでかさこそかさこそと書く感じがする」とおっしゃっていました。ひらがなの「かさこそ かさこそ」って、そうだなあと子ども心に感心しました。あれからもう40年もたっているのに、今でもその番組のことを覚えている自分に呆れるような心地がします。学校へ行く前にご飯を食べながら見ていたテレビでした。
↓前の日記
/ 次の日記↑
|
|
|
|
|
|
|
|
|