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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

そうそう海苔の季節でした。

2007年12月15日(土)

 伊藤さんのコラムを読んでいて、思い出したんだけど、海の水が冷たくなるこの季節は海苔の季節でした。今は海面にぷかぷかと浮く海苔の養殖網もあって、かなり水深の深い海や、波の荒い海でも海苔を養殖できる技術がありますけど、昔は遠浅の海に乗り粗朶を建て、養殖用の網をはって海苔を作っていたから、有明海のように遠浅の海でなくては、海苔の養殖ができませんでした。

 幼稚園に通っていた頃は、横浜の金沢八景にある平潟湾も海苔の養殖が盛んで、今頃になると自家用の海苔を干している漁師の家もありました。紙を漉くのと同じで、四角い木枠をつかって、四角く海苔を梳いて、それから天日に干すの。
 すのこに四角く梳かれた海苔が並んでいて、市松模様を作っていました。養殖網から離れたて、流れてくる海苔を海岸で掬って、自分で漉いてみたこともあるのですけど、これはなかなかうまく行きませんでした。海苔を四角くするための枠は父が作ってくれました。網から離れた海苔だからそれほど量が多くないってこともあって、生海苔を酢の物にしたりしていました。これは、潮干狩りが始まる3月頃のことですね。アサリを採りに行ってついでに、海苔も救ってくるのです。
 お歳暮に自家製の海苔をいただくこともありました。干す前の海苔は、黒というよりも紫色をしています。

 海苔粗朶は竹の棒で、竹の棒が遠浅の海に等間隔に並んでいるんです。今では海苔粗朶のかわりに、平形湾に繋留されたヨットのマストが並んでいます。

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