中沢けい公式サイト 豆畑の友
ホーム プロフィール・著作リスト 中沢けいへの100の質問 中沢けいコラム「豆の葉」 お問い合わせ
中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

結婚詐欺

2007年11月05日(月)

 40歳代の介護士の女性から150万円を騙し取ったとして劇作家が逮捕されるというニュースを見つけました。結婚後に二人で同居するマンションの頭金という名目でお金を騙し取ったそうです。で、これは逮捕の名目にすぎず、なんでも1億7000万円くらいの余罪がある様子だとのことでした。介護士の女性のほかに複数の女性に結婚をもちかけてお金を騙し取っていたようです。
 介護士の女性も自分の家を売って3000万円のお金をつくり、事業用の資金として渡しているとありました。きっと事業用の資金では、詐欺の立証が難しかったので、マンションの頭金の持ち逃げのほうを警察は逮捕の理由にしたのでしょう。

 で、昨日の話の続きですが、この40代の介護士の女性が高校を卒業する頃には、女性が住宅ローンを組むのがむずかしかったはずです。銀行は「女性には貸さない」とはっきりとは言いませんが、だいたいそんな感じでした。で、女性雑誌には銀行から住宅ローンを女性一人で借りる方法なんていう特集がありました。こつこつと預金をして、信用をつけるという正攻法な話ですけど「なるほどなあ」と納得しながら、そんな記事を読んだ覚えがあります。で、この騙された介護士さんが即金でマンションを買ったのか、住宅ローンで買ったのかはわかりませんが、いずれにしたところで、かなり努力をして買ったマンションに違いありません。年代から考えると銀行も独身女性に住宅ローンを貸すようになった「はしり」の頃の利用者かもしれないなあと思いました。

 以前、詐欺にかんする本を読んだことがあるのですが、結婚詐欺というのは、被害届けをとり下げられてしまうことが多いのだそうです。被害者も「騙された」とは思いたくないそうで、被害届けが取り下げられて犯罪そのものが消滅してしまうというケースが多いと書いてありました。そんなものかなと思いつつ、なんとなく「そうだろうな、そうだろうな」と納得してしまいました。被害というよりは感情のもつれと理解したほうが、心の傷が浅くて済むということろを、巧妙に利用するのだそうです。悪い人ってのは、やっぱりどこまでも悪いみたい。でも、その本によると、詐欺師は自分が人を騙している自覚がない人が多いとも書いてありました。人を騙すには、まず、自分を騙す必要があるのだそうです。で、1億7000万円を女性から引き出した劇作家もお金を受け取ったことは認めているものの、「騙したわけではない」と主張しているそうです。

↓前の日記 / 次の日記↑

   
談話室 リンク集「豆の茎」 メルマガ「豆蔵通信」 サイトマップ