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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

新潮文庫の背

2007年07月04日(水)

 新潮文庫にカバーがかかったのはいつごろだったかな?と考えてみたのですが、思い出せません。まだパラフィン紙を使っていた頃もちょこっと覚えています。母がスポンジケーキを焼くときに、あれを使えないかしら?と言い出したことがありました。ううん。やっぱり本棚の中にずっとおきっぱなしにしてあると、パラフィン紙も弱くなって、しかも茶色く変色しているし、埃もかぶっているしで、さすがにケーキには使えませんでした。

 見慣れたはずの新潮文庫の背ですが、作家によって色が決まっていると言われてみると「あ、そうだった」と気づく感じでした。みんな違う色というわけでもないのだそうです。あいうえお順に並んで隣同士にならなければ、同じ色を使うこともあるそうです。で、背の色が決まるのは二冊目から。一冊目はどの人も「白」の背を使うそうです。というわけで今回「うさぎとトランペット」ではいくつかの候補の色から背の色を選ばせてもらいました。選んだのは「洗朱」という色名の色です。「楽隊のうさぎ」もこれまでは白でしたが、次回の重版から背は「洗朱」に変わるそうです。へえ、そんな決まりがあったのかと感心。本屋さんで年中眺めている新潮文庫ですが、そんな決まりがあったとは知りませんでした。

 カバーの背には短い紹介文があります。これを読んでいるとなかなかおもしろいのですが、パラフィン紙のカバーから今のカバーに変わった時には大量の紹介文を書かなければならず、担当者はものすごく苦労したそうです。確かに出版点数を考えると、これは突然、大量の仕事が降って湧くような出来事だったでしょう。
 背の色は「白」がいいという作家ももちろんいるわけで、その場合は背に載る文字の色が墨から別の色に変わるそうです。そういう目で一度、新潮文庫の棚を見てみたら、それはそれでおもしろそうです。

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