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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

横須賀美術館

2007年05月19日(土)

 浦賀水道は世界でももっとも交通量の多い海域と言われていますが、横須賀美術館は、その浦賀水道を見下ろす走水にあります。観音崎とすぐ下と言ってもいいかもしれません。07年(つまり今年)4月28日にオープンしました。道路からなだらかな芝生の斜面があり、そこに新しい建材を多様した白い平屋の美術館があります。空と海との間にある美術館という感じです。平屋と書きましたが、実は地下は3階まで広がっていて、館内に入るとかなり広々とした空間が広がっています。
 景観のじゃまにならない建物。あるいは景観を一体になる建物という設計です。開館記念の展覧会は「生きる」をテーマにした現代作家のグループ展です。

 グループ展の出品者のお一人で、「うさぎとトランペット」の新聞連載時の挿絵を描いてもらった小林宣孝さんのアーティストトークを聞きに行きました。日本にいるときは潜水艦を書いていた小林さんは、バンコックへの留学をきに「お皿」を書き始めます。それから「枕」を書き始めます。お話を伺っていると人の気配が感じられるものから、しだいに人そのものを描くようになってゆくプロセスがよくわかりました。「うさぎとトランペット」のころには「眠っている人」を描いていて「私を夢見る私」や「小さな死」というタイトルが絵についていました。「うさぎとトランペット」の連載一回目で宇佐子がぱっちり目を覚ますところを描いていただいたのを思い出しました。最近の個展では髭おじさんを正面から描いたポトーレイトが印象に残っています。

 アーティストトークが終わったあと、横須賀美術館の館長の原田さんも交えて、テラスでしばらく御話をしました。浦賀水道を行くタンカー、貨物船、客船、などなどさまざまな船を眺めながらのお茶でした。レストランは六本木に本店があるイタリアンレストランだそうです。おなじテラスで犬のバグを連れた人がお茶を飲んでいました。バグは暑さでちょっとお疲れぎみでしたが、レストランのボーイさんから、タッパーに水を入れたものをもらって満足そうにしていました。ボーイさんがテーブルのお客さんに水を持ってくるついでに、犬にも水を持って来てくれたのでした。ちょっといい感じの眺めでした。でも夏になったら、ものすごく混雑しそうな美術館でもあります。

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