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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

物欲に駆られる

2006年11月23日(木)

 ああ、コートが欲しいよ!なんて言ったら今年はもう一着作ったじゃないって言われそう。

 はい。確かにつくりました。出来上がって日にすぐに横浜の会合に着て出かけたら「これからオペラを始めるのですか?」って言われちゃいました。緑とグレーの織柄で、薔薇の模様だから。娘は「なに、その派手なの」って言ってました。確かにボタンにライトストーンが入っているから派手って言えば派手です「いいよ、いいよ森の妖精か、緑のおばさんみたいで、素敵ですよ」って息子が言っていました。お前、それってぜんぜん褒めてないって(ぷんぷん)とくに「緑のおばさん」ってところが。横断歩道で旗を振ってやろうかしら。裏地はブルーにして、内ポケット(いわゆる隠しってやつ)をつけて「EMIKO」のネームも入れちゃいました。「えっ、本名でネーム入れたんですか」とゼミ生のM君。悪いか、本名でネーム入れて。でも、このコートって合着なので、文学フリマがあった日曜日(12日)から急に冷え込んでもう着られなくなっちゃったんです。来年の春までお預け。

 で、見つけちゃいました。革のなめしがものすごくいいコート。細身のトレンチ。でもちゃんと私でも入るサイズ(これがそんじょそこらでは見つからないの)店員さんも「軽くて着心地が良くて、しかもお安いですよ」って、私もそう思います。ただ「お安いですよ」という比較対照がエルメスなのが泣き所。そりゃ、エルメスに比べればお安いです。舞い降りてた物欲大魔王と戦いながら、公孫樹の紅葉が見事な光が丘公園を散歩してきました。え、コートなしで散歩していたのかって?もちろんコートは着てました。ベージュ色のPコートを。

 そういうわけで、今夜の東京はちょっと寒くて寂しい雨が降っています。カルフォルニアの伊藤さん、もうすぐ東京のお越しとのことですが、暖かくしてやって来てください。そうだ、とてもごついところが伊藤さんによく似合う裏革(バッグスキン)のコート着てましたね。あれがもう必要になってます。あのカウボーイが着ているようなコート。

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