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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

小林孝亘個展

2006年10月04日(水)

 「うさぎとトランペット」の公明新聞連載時の挿絵と単行本の表紙の絵を描いてくださった小林孝亘(たかのぶ)さんの個展が開かれています。

 西村画廊 東京都中央区日本橋2−10−8
      日本橋日光ビル3F
      TEL 03−5203−2800

      10月3日から10月28日まで

 3日に久しぶりに小林さんとお話してきました。今度の個展は人の顔です。ぱっちり目をあけた人の顔。片目をつぶった人の顔。肌色とグレーのトーンが美しい絵でした。絵を描くときは、色の濃淡、線の流れ、部分の配置など、人の顔(意味)よりも、そういう絵の部分と画面の関係を考えて描くそうです。でも人の顔だと、ことに目を開けた人の顔は、描いているうちにだんだん表情(意味)を帯びてくるというお話をしてました。
 時々、ほんとうに世界はいろんなふうに見えているんだなあと思うことがあります。絵を描く人には、世界は線と面の組み合わせと色の濃淡で出来上がっていると見えるらしいのです。これは画家とお話すると、ある共通した感じがあります。
 文章を書く人間は世界は意味(言葉)でできているように見えます。無意味でさえ、無意味という意味(言葉)で構成されているような気がします。
 昨年、ご結婚なさった小林さんはふだんタイにお住まいですが、来年の春までは、新しく開設される横須賀美術館での展覧会のための絵を日本で描くそうです。
 横須賀美術館の絵も楽しみです。

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