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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

安倍川の流れと大崩

2006年09月06日(水)

 静岡に行ってきました。静岡新聞との打ち合わせと連載小説の挿絵を描いてくださる宮本恭彦さんとの打ち合わせです。

 安倍川を見てきました。東海道は海岸線を走る街道ですから、川はどこもみんな河口が近くて、大きく広いです。安倍川もまたしかり。大きな堤防を持ち、河原には玉石が積み重なり、とうとうと流れています。で、その河原を見下ろすように富士山が浮かび、富士山の南側には日本平が濃い緑色で寝そべっています。雄大な眺めですね。この安倍川の岸で家康によって切支丹が処刑されたということです。

 安倍川から大崩へ。大崩は難所だと聞いていましたが、聞きしに勝るところでした。どころでも車でいける時代ですから、徒歩の時代の難所も行ってみるとさほどではないとこともよくあるのですが、大崩は恐い、恐い。静岡と焼津の間の山が大きく海に張り出しています。張り出した山が急峻な崖になって海に落ちているのです。しかも、その崖はもろい岩で出来ています。もちろん歩いても頭上からいつ岩が落ちてくるか解らないし、足を滑らせれば白い波が泡立つ海の中へ転落する危険もあります。が、曲がりくねって車道を車で走るのもスピードがあるので、歩く以上のスリルがあるかもしれません。陽が暮れてからは決して通りたくない道ですね。今はトンネルをくぐれるようになっています。そうだ、もうずいぶん昔ですが、東名の日本坂トンネルで大規模な事故があって大勢の死者が出ましたが、あの日本坂トンネルが走っているのが、この大崩のあるところです。

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