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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

キャンデロロとストイコ

2006年02月19日(日)

 札幌で冬季オリンピックが開かれた時、ジャネット・リンという女子選手がいました。札幌の恋人とか氷の恋人なんて呼ばれて、オリンピックのあとはなにかのCMにも出ていたような気がします。フィギアスケートというものがあるのを知ったのはこのオリンピックが最初でした。それ以来、オリンピックの時だけのフィギアスケートファンです。オリンピックだけじゃなくて世界選手権とかNHK杯なんかも見たんのですが、雑事に取り紛れて、忘れてしまうのです。新聞のコラムで、ジャネット・リンのことを書いたものをいくつか見つけましたが、きっとコラムを書いた記者も小学生の時にテレビでじっと見ていたのではないでしょうか?ジャネット・リンを直接に取材したなんて記者はとっくの昔に定年退職を迎えているはずです。

 長野オリンピックではカナダのストイコ、フランスのキャンデロロの男子選手がおもしろくて忘れられません。このときはフランスからスルヤ・ボナリーという黒人でバック転が得意な選手も出場してました。日本で開催されたというだけでなく、上位選手が個性的な大会だったと思います。ジャンプの王様と言われたストイコはオリンピックチャンピオンにこそなりませんでしたが、世界チャンピオンには何度もなっています。身長170センチ。がっちりした体格。顔が大きく見える。長野の時は足を痛めていたのにもかかわらず2位でした。

 人気の点ではキャンデロロに勝る人はいないでしょう。昨日、ネットでキャンデロロの長野でのプログラム「ダルタニアン」の動画が入られるアドレスを知って、ついつい何度も見てしまいました。ストレートラインステップはフェンシングの動きが前後の直線だけで、左右の動きはないことを利用して、実際に剣で戦っているような雰囲気を見事に出していました。これだけでも頭の良い振り付けだと思うのですが、極めつけはジャンプに多少失敗しても観客は「ダルタニアン危うし!」という心境になって、会場が沸き返るのです。もちろん採点としては減点の対象になるのでしょうけれども、あの頃はまだジャッジの心象による採点でしたから、お客さんが大喜びをすれば、それだけ減点も少なくなる可能性がなきにしもあらずでした。

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