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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

銭洗弁天

2004年08月07日(土)

 夏の鎌倉を散歩してきました。鶴岡八幡宮の源平池では、紅白のハスが今を盛りに咲いていました。いつのまにか白いハスが増えてしまったみたいです。

 鶴岡八幡宮から佐助のトンネルを通って銭洗弁天へ。佐助はそのあたりの地名でもあるのですが、これはもとは人の名前なのでしょうか?いつも不思議に思っているのですが、あとで調べようと思うだけで、すぐに忘れてしまします。

 銭洗弁天は佐助を山のほうに入った不便なところにあるので、初めて行きました。弁天様が祭られている岩穴の清水でお金を洗うと、お金がたくさんに増えると言われています。小さなお社で、もしお金を洗うなどという習慣がなかったらとっくに忘れられてしまった神社かもしれません。

 お金はざるに入れて洗います。一万円札を洗う人もいるそうです。五百円玉を洗ってみました。お金がきれいになったような感じがしました。となりでお金を洗っていた男の人が「マネーロンダリングだな」とつぶやいていたのには、思わず笑ってしまいました。奉納された絵馬を見ていたら「宝くじが当たりますように」というお願いがあって、なんとなく「なるほど」とうなずいてしましました。境内には「洗われたお金は有意義なことにお使いください」という張り紙がありました。有意義って人によって感じ方が違うのだろうなあとしばしせみ時雨の声を聞きながら考え込んでしいました。

 湿った山道に開いたトンネルの向こうにある銭洗弁天は、沖縄の「ウタキ」に似ていました。周囲を山に囲まれ、洞窟には清水が湧き出しているので、きっとここは大昔に人は住んでいた場所にちがいないと思いました。清水が湧き出している涼やかさが、夏の午後にはとても清涼に感じられて、隠れ家か何かに忍び込んだような気がしました。こういう場所を人が暮らしていた時はまだお金なんて必要ない時代だったのでしょう。いったい一番最初にざるにお金を入れた洗ったのは誰だったんでしょうか?

 銭洗弁天からひさしぶりに大仏さんの顔を拝んでついてに長谷の観音様にもお目にかかってきました。子どものころ、親に連れてきてもらったことのある神様や仏様というのは、なんだかちょっと親戚のうちに顔を出したような感じがするものです。懐かしい人に会った時の感じに似ています。

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