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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

冬の海の家

2005年12月11日(日)

 広い空と大きな海とどこまでも続く砂浜の九十九里海岸までドライブしてきました。何時も何か用事があるのですが、今度はほんとうにドライブ。

 アクア・ラインから木更津に抜けて、紅葉がまだ終わってなかったので、房総半島を横切るようにして、鹿野山と清澄山の西側を抜けて天津小湊に出ました。紅葉もまだこ残っていましたし、途中でたくさんの柿の実が実っているのでも出会えましたが、山道があんまりぐるぐると回っているので、運転していて目が回ってしまいました。これはちょっと心配。

 それから太平洋沿いに九十九里浜の大網白里まで北上。ここで西の空へ陽が落ちて行きました。東の空も沈む陽の照り返しで、雲が紫がかったピンク色に染まっていました。引き潮で黒く濡れた波打ち際を千鳥が一羽、千鳥足なんて冗談でしょうという言いたげにまっすぐに走っていました。海の色に乳白色とブルーが混じった感じ。冬の海も時折、こんなパステルカラーに染まるのだなと関心したくなる色でした。

 こんな季節に海岸にならんだ海の家が営業しているとは思えなかったのですが、幾つかの店の中には人の影がありました。で、覗いてみると「いわしの丸干しとハマグリとイカを鉄板で焼くだけ」というメニュー。
「それだけならあります」
 浅黒い肌につやのない髪。いかもに海辺の人らしい風貌のおばさんは、その風貌に似つかわしくないやさしい声で日暮れに飛び込んできたお客の相手をしてくれました。「飲み物は自動販売機を利用してください」という店内はがらんとしてましたが、それでも、カップルが一組、熱心に話し込んでいました。

昨日、高速道路を走りながら聞いたラジオでは「明日は都心でも雪がちらつくかもしれません。お出かけするなら今日のうちに」なんて言ってましたが、ほんとうに小雪が舞い始めました。池袋で開かれた伊藤比呂美さんの朗読会を終わって地下鉄を降りたら、空から白い粒々がぽつぽつと舞い降りてきました。


 

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