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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

銀の波

2005年11月11日(金)

 台北から台東までは列車で行きました。華蓮から先は単線の旅です。台湾の東側は中央山脈がすとんと海に落ちるような地形をしています。列車は華蓮まで、海岸沿いを走ります。きめの細かい砂で埋め尽くされた海岸が無防備に太平洋に開いていました。

 華蓮あたりから太平洋と中央山脈の間に走っている襞のような山地に入ります。3000メートル級の山々が並ぶ中央山脈の山の稜線が弧を描いて、石ころだらけの川原が広がる谷に落ちています。川は枯れ川か、もしくは石だらけの川原の中に細い流れがあるかでした。日本の川で言うと大井川に似ていました。ひとたび雨が降れば、山の斜面を駆け下りた水が川幅いっぱいにごうごうと流れる様子が目に浮かぶような川原でした。

 そうした川にも穏やかな背もある様子で葦がいっぱい茂っていました。銀色に輝く穂が一面に広がっていました。葦の穂はさわさわと、高い山から下りてくる穏やかな風にそよぎながら、日差しをいっぱいに浴びていました。銀色の波でした。枯れ川の中にたつさざなみでした。

 台北から台東まで行きは4時間半、帰途は6時間の列車の旅でしたが、その景色が変化に富んでいたので飽きることなく凄くことができました。台湾でも新幹線の試運転に成功したそうです。東シナ海側の台中から高雄にかけては平野部ですからもうすぐ新幹線も走るでしょうけれども、太平洋側はまだしばらくのんびりとした列車の旅ができそうです。

(連絡事項)東呉大学院生のみなさんへ、うちの娘が今日、のまネコの捕獲にでかけて行きました。しかし、もうのまネコはいないかもしれません。流行のはやり廃りが早いのでUFOキャッチャーのぬいぐるみもどんどん変わって行くそうです。期待しないで待ってください。

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