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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

執念と怨念

2005年08月17日(水)

 まだ公示されてない衆議院選挙ですが、自民党の候補者選びのためにかなり報道されています。郵政民営化に反対した候補のたつ選挙区へ賛成の候補を対抗馬として立てることをメディアは「刺客」と呼んでいます。

 最初に「刺客」という言葉が飛び出したのは小林興起候補の選挙区に小池ゆり子環境大臣が立ったときでした。これが我が家の隣の選挙区。と言っても我が家の選挙区の端っこなので、自分の選挙区の候補はあまり姿を現さないのです。隣の選挙区の候補の方がよく回ってくるのは毎度のこと。メディアは対立候補をみんな「刺客」と呼んでいますが、表現に工夫をして欲しいものです。

 小泉首相の郵政民営化への執念を感じさせる候補者選びですが、一方の反対した議員の言動には、とくに亀井静香候補は、怨念を感じる言動が目立ちます。この選挙は執念と怨念の戦いというところでしょうか。世論調査などでは首相側のやりすぎの首をかしげている人もかなりいるようです。対立候補を立てるのは、いきさつから言って仕方がないところがあるのでしょうが、森前首相に干からびたチーズを出して、あとでフランス高級チーズだとバラすなんてのは、いささか、執念をとおり越した妄念なのではないでしょうか。

 選挙は次の衆議院選挙だけで終わるわけではありません。首相の執念は郵政民営化法案の成立とともに、あるいは首相がその地位を降りることによって消えるでしょうけれども、怨念のほうは、これは形を変えて残って行くことでしょう。消えたと思ってもまた現れるのが幽霊の怖いところですが、怨念という人間の感情もそれと同じようなところがあります。

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