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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

マンションの草刈しました

2005年06月19日(日)

 今年はマンションの自治会長を引き受けてしまいました。いまさら、女性で初めてなんて、珍しくなくなりましたが、案外、自治会長なんてのはまだ女の人が少ないのです。で、私の住むマンションでも女性の自治会長は初めてです。

 今日は毎年恒例の草刈でした。マンションの敷地全体の草刈をしました。あじさいの花の盛りで、これを刈られてはつまらないので、あじさいの花が終わったら、私が刈り取るということで、残してもらいました。

 草刈が終わってから、小さな子どもたちが荷物を運ぶキャスターで遊んでいたので、子どもを乗せたまま倉庫にキャスターを仕舞うふりをしました。
「倉庫の中に仕舞って、鍵をかけちゃうと真っ暗だよ」
 と冗談を言うと、なにやら足元にしがみつく暖かな体温。小さな男の子が青い顔で
「お姉ちゃんを倉庫にしまっちゃだめだ」
 と本気で怒っています。ちょっぴり倉庫に入ってみたかったお姉ちゃんが、「大丈夫、大丈夫」と言っても男の子は口を「へ」の字にして怒ってました。

 で、とうとう泣き出しそうになり、お姉ちゃんが
「一緒に倉庫に入ろう」
 と言っても首を横に振ります。やあ、つまんない冗談を言ってしまいました。小さな子って、冗談が通じないのですね。結局、どうしたかというと、キャスターの上にいた子どもたちの期待にこたえて倉庫に突入しました。いつもはは入れない倉庫に入って大喜びのおともだちを置いて、お姉ちゃんはあわてて泣いている弟のところに飛んで行きました。そして泣いている弟をお姉ちゃんはおんぶしていました。

 あの坊やには、私が太った鬼婆に見えたことでしょう。しかも腰には草刈鎌の入ったケースをさげていたし。倉庫の中で「なんておいしそうな子どもたちだろう」と舌なめずりをして包丁を磨いているデブ鬼婆の夢をあの坊やは見るかもしれません。きっとその鬼婆はパナップル模様のアロハを着ているに違いありません。

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