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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

安保法制 1新法+10法改正パックって卵の安売りじゃないんだ。

2015年05月16日(土)

 松井計さんが安倍晋三はぼろくそに言う人とやたらにほめあげる人の二極に分かれると呟いていた。前者はさておき後者は安倍晋三の支持者だろう。日本会議系のある一部の人々とそれは重なる。
 安倍晋三を支持する日本会議系のある一部人々については菅野完さんが「安倍内閣を支配する日本会議の面々ーシリーズ 草の保守の蠢動」でリポートしている。

 日本会議系のある一部の人々の政治的目的はどうやら「明治憲法復元」「東京裁判拒否」に集約されるらしい。そういうふうに考えるといろいろ腑に落ちることがある。近隣諸国と歴史認識をめぐる関係悪化は「東京裁判拒否」となれば必至の結果。
 「明治憲法復元」も「東京裁判拒否」もまともに考えれば、あり得ない政治的主張で、こんなものが国会で法案を作り出すことがあるはずがなかった。多くのジャーナリストはきっとまだそう考えている。が、特定秘密保護法 → 安保法制改定 → 憲法改正 と進む。
 憲法改正で人権条項が大幅に削除もしくは改定されることが議論されているのを奇異な目で眺めていたが、明治憲法復元となれば一応の筋は通る。もちろん、それを支持するわけではない。匿名の集団による俗悪な俗論と戦うよりはまだましだ。
 「東京裁判拒否」のほうは、もう日本を孤立の危険にさらす気かと激怒したくなる。ただし、これで行動保守がネオナチに親和性を示すわけも少し理解されてくる。この場合、理解は「受け入れ」を意味しない。支離滅裂な俗悪な理屈にしか見えなかったものに幾分かの筋が通った。
 大阪で「ヘイトスピーチ許しません」のステッカーを営業車にはってくださった日本城タクシーの社長さんとお話をした時に「日本はそんなに右傾化しておりゃせん」とおしゃっていた。同感。ただし安倍晋三は違う。しかも安倍晋三は首相。
「明治憲法復元」「東京裁判拒否」を唱える人々と安倍晋三がどこで結びついたかと考えるとNHKが放送した「女性国際戦犯法廷」の番組改変問題が浮かんでくる。2001年の事件。NHKの番組改編問題を思い返すとその経験をもとに現在の情報統制があると考えられる。まずNHKを経営委員会人事で抑える。それから朝日新聞を従軍慰安婦吉田証言、原発事故吉田調書で叩く。これで「明治憲法復元」と「東京裁判拒否」に立ちはだかる勢力をつぶせる。
 そういう設計をされた筋とその筋を支える理屈がいささか見えてきたと。それが今考えていることなんだけど、一般の多くの人はそれを言っても信じてもらえないよね。たぶん。

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