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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

東の空の夕焼け

2012年08月12日(日)

 東の空がピンク色に染まる夕焼けを見つけました。8月7日の夕焼けです。ここ数日、考えがいろいろ変ってきました。今日はちょっとメモ的な感じで書いてみます。

 もうすぐオリンピックが終わり。オリンピックが終わったら、第二のリーマンショックが来ると言われています。ニュースを見ているとユーロ危機に関連して金融危機が起こりそうな懸念がありますから、その兆しは感じ取ることができます。6月に突然、民主、自民、公明の3党合意が成立して、消費税率アップの法案が出てきたのも、この金融危機の予兆と関連しているのでしょう。日本は財政赤字から抜け出す政策をすでに打っているという形式を作り出す必要があったのだろうと想像しています。

 ちょっと飛躍した話になりますが、新聞を読むための元手になるような経済の概念を説明した本を幾冊か読んでみました。それで、唐突に「アメリカは世界に米軍基地を維持する費用を持っているのだろうか?」という疑問に突き当たりました。幾つかの経済の本を読んでいるうちに、ニクソンショック以来、世界が「金融資本主義」に振り回されてきたのは、アメリカが世界に米軍基地を維持するための費用の捻出だったのかあという感慨にとらわれたのです。で、その「金融資本主義」のマジックもそろそろ効果が限界まで来ていると。そんなことを考えたのです。ここにきて、日本の近隣諸国との領土問題が噴出しているのはアメリカの覇権の力が弱まっているためだという指摘は専門家から出ています。北方領土をロシア大統領が訪れ、尖閣諸島周辺では中国漁船の領海侵犯事件から始まる一連のごたごた続き、韓国が実効支配する竹島に李明博大統領が訪れる。これに沖縄の米軍基地問題とオスプレイ配備を加えれば、日本は近隣諸国のほとんどと、もめる種を抱えています。


 で、東の空の夕焼けです。太陽は西に沈むのですから、東の空の夕焼けは西に沈む太陽の照り返しを受けているわけで、と。ちょっとこじつけかなと思いつつ、東の空が美しくピンク色に染まるのを撮影しました。20世紀が残した問題を21世紀の空が反映させているような、そんな感じでした。

 ここ数日で考えが変ったと言うのは、まず、脱原発の目標はだいたい15%くらいがいいんじゃないかと私は考えていたのですが、目標なら0%でよいと考えるようになりました。達成目標としては15%などという曖昧な数字よりも明瞭に0%を目指したほうが解りやすいですし、政府の態度も決めやすいでしょう。国際社会に向かってのアナウンス効果も高いでしょう。それから、選挙をするべきだという考えに傾いてきました。原発依存0%の目標を掲げても、現在の日本なら議論はそう空想的にならないという確信が生まれてきました。なにしろ、電気に関する議論なのだから、誰もが使うもので、そうそう空疎な議論はできないはずです。ここ数日の国会内外の動きを見ると、ことさらに選挙をするべきだと言わなくっても、今年のうちに選挙がありそうですが、あえて選挙をするべきだと言うに至ったのは、消費税率アップの法案成立に至るまでの国会の動きを見ていると、民主党政権と言うのは「アンチ自民党」が政治的テーマの時代の選択として選ばれた政権だということが、はっきりしてきたのが実感されたからです。「アンチ自民」の時代は終わったのだと3党合意の様子を見ながら、それを実感したのでした。
 
 「アンチ〜〜」という発想では、震災や原発事故や国境紛争は対応できないと。そういう考えに至ったのです。選挙をやれば、めでたし、めでたしと言うわけにはゆかないでしょうけれども、切実なものを抱えた有権者は震災、原発事故、国際情勢の変化、金融危機を踏まえることができる政治家とそうでない政治家を選び分けることができるのではないかと。どうなるのか、わかりませんが、やってみるよりが結局は回り道のようでいて早道だと考えるに至った数日間でした。

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