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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

御卒業おめでとうございます。

2011年03月26日(土)

 昨日は学位記の交付で、卒業するみなさんの元気な御顔をみることができました。御卒業おめでとうございます。

 皆さんはこれから、狭い学校の中よりもずっと広い世界に出て行かれるのです。世界は広く、そして多様で、さまざまな可能性に満ちています。もちろん困難もあることでしょう。そのことは今年、卒業される皆さんは充分に承知されていることと思います。就職が内定した企業の職場で、地震で被災された家庭で、すでにいろいろな立場から、困難に立ち向かいながら、学位記の受け取りに駆けつけてくれた卒業生とお話をすることもできました。皆さんに、時々、思い出してもらいたことがあります。それは皆さんが直面する困難は、豊かで、多様で、広い世界の一部分、要素のひとつだということです。そして、困難の中には必ず、良きものの種が隠れているということを忘れてもらいたくありません。新しい智恵、美しい魂、それから何を付け加えたらいいのでしょうか?ともかく困難と言うものの中には、必ずよきものの小さな種子が隠れていることだけは、間違いのない事実だと私は信じています。そのよきものの小さな種子を見つけ出すのは、皆さんの目であり、皆さんの耳であり、皆さんの手です。

 どのような困難な時にも日月はその運行を止めず、日はまた昇ります。どうぞ、若い皆さんのお力で、良きものの小さな種子を見つけ出し、芽吹かせ、みずみずしい枝葉を持った木に育てあげてください。幸い昨日の東京は暖かで穏やかな日でした。皆様の門出を静かに祝福しているような、春を予感される日でした。ここからはじまる新生活は、大学での学生生活で得た知識や体験に魂を入れるための冒険です。どうぞ、皆様、おひとりおひとりが、心豊かにお過ごしになりますように祈念します。またお会いしましょう。そして、皆様のおもしろい冒険譚をお聞きするのを楽しみにいたしております。

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