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伊藤製作所「豆畑支所」
   
 

タケとスタートレック

2009年06月26日(金)

夕方、タケを迎えに行ったら、まだ終わってなくて、奥のほうですすり声が聞こえていた。ときどき吠え声も聞こえたがそれはタケではなかった。すすり声のひーひー声がタケであった。しばらく待っていたら飛び跳ねながら出てきて、かすれた、声にならない声で、喜びを表現していた。おしりは大判のあぶらげ大に剃られてあった。え? いくらって? おしりの手当と耳の手当と、ジステンパーかなんかのワクチンと薬で、300ドルちょいであった。もっと高いだろうと思ってたので、そんなにショックではない。でもだいぶよくなっていて、もう、おしりのかいかい跡をかんだりしない。食欲も旺盛で散歩欲も旺盛である。
半年くらい前に、タケの弟のアトスが安楽死した。心臓に腫瘍ができて、苦渋の決断というやつであった。どうやって獣医に連れて行ったか、その飼い主がくわしく話してくれた。しかしタケのこの医者嫌いのようすを見ていると、どんなに苦渋でも、とうていそれは決断できないなあと考えたのである。
タケが短期入院しているすきに、「スタートレック」みにいった。むかしのテレビ、たぶん「宇宙大作戦」というやつは、なんにも覚えてなくてただスポックだけ覚えているので、今回もスポックをみにいったようなものだ。つれあいも見たいといってついてきた。彼はおとなになってから見た上にSF好きなので、もっと思い入れがあるようだ。トメはなんにもしらないで見ていたが、スポック役の人がテレビのドラマで人気なんだそうだ。友だちもファンで、こないだみんな見に行ったそうだ(トメは日本人学校で、いけなかった)。今どきのアメリカの女の子はああいうのが好きなのかとおどろいたのである。
見たあと、つれあいが、あんな大がかりな宇宙船の、あんな大切な任務を、あんなに若い未経験な人々にまかせるのはいかがなものか、と感想をいいはじめたので「リアリスティックな映画じゃないんだから」となだめつつも、70や80の経験だけはたっぷりある年寄りがしのごのいいながら動かしていく宇宙船の話など見たくもないわいと思ったのであった。
チェコフ役の子が、たーーいへんかわいく、ちょーきょーれつなロシアなまりもかわいかったが、納得できないのは、まさにそのなまりである。というのも、チェコフは17という設定で、それだけ若ければ、異言語を使う環境に入れば、もっと早くその言語の発音にはなじむはずだからだ。30や40で異言語使いはじめるのとはわけがちがう。……とかいってたら、「まみー、リアリスティックな映画じゃないんだから」とトメにいわれたのであった。

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