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老人
2008年03月08日(土)
うちの父(85際)は歩くのも覚束ないパーキンソン病のかなり進行した老人で、みかけもよぼよぼ、着ているものはユニクロとマゴたちのおくってくる大学の名前入りのスエットシャツ。 先日、「なにか食べたいものは?」といったら「中国製の冷凍ギョウザ」という。冗談いってんのかと思っていたが、きのう冷凍食品半額セールで冷凍ギョウザ買って帰ったら、とても喜び、「テレビであれだけやってるから、どうしても、うまそうだなあ、食べたいなあと思っちゃうんだよなあ」と。つまりほんとに食べたかったらしい。 行きつけの病院はリハビリ内科病院だが、けっきょくは老人専門病院の様相を呈していて、生若い医師が、もっとずっと若かったときから、老人たちの生き死に、といいたいが、死を、植物のように緩慢な死を、見届けている。入院している緩慢な病状の人ばかりなので、外来はすぐ医者に会える。で、これも先日、主治医の診察を待っていたら「先生は今、処置のさいちゅうで少し遅れます」ということで、「伊藤さん、すこしお待ちになっていただいていいでしょうか?」と看護師さんにいわれて、そくざに「やだ」。 そのあとひさしぶりに同じ病院の三階に入院している母を見舞い(このごろは自分のからだのほうがきついらしくて、ぜんぜん母にあいにいこうとしない。母の誕生日にもいかずじまいで、自分でも気がとがめたらしく「バラの花、一本、ばあさんに買っていって」)看護師さんから「ひさしぶりですねー」といわれて、「あなたの美しい顔を見られなくて‥‥」。 翌日は歯科の診療を受けたが(週に三回、同じ病院内に歯医者が来る。若い女の医者で父のお気に入り)、「チョコレートのたべすぎとタバコの吸い過ぎ‥‥でもあれは(チョコレート)やめられない‥‥」と渋くつぶやきつつ、先生に「成人式はすみましたか?」 あんまり呆れて、おとうさん、女にはいうこと考えてあるの? ときくと、「いや、顔をみてると出てくるんだ」 きのう、オバマとクリントンの話をしていたら「もしアメリカの選挙権もってたらクリントンにいれたい」というから「どうして?」ときくと「かわいくてきれい」 85の老人にとっては60のクリントンは、若くてきれいなだけでなく、とってもかわいく見えるのである。
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