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ロストクライム 3億円はどこへ行ったの?
2010年06月22日(火)
角川映画の「ロストクライム 閃光」を試写会で見てきました。1968年の「3億円事件」を題材にした永瀬俊介の小説を映画化したものです。試写会のあとは、ジャーナリストの魚住昭さん大谷昭宏さんとのトークセッション。大谷さんは事件当時、読売入社1年目の新米記者で徳島の支局にいたそうです。魚住さんが共同通信へ入社したのは、「3億円事件」の時効の頃だったとお話していました。私は事件当時小学校3年生。
映画ではジャーナリスト宮本役の武田真治が異様になまめかしいのに驚きました。この映画を事前にご自宅でご覧になった魚住さんは「小学校4年生のこどもと一緒に見たので、エッチな場面が出てくると、画面を飛ばしました」と言ってましたが、試写会で見た私はエッチな場面よりも武田真治が出てくると、そのなまめかしさがちょっと怖くなりました。主演は刑事役の奥田英二、渡辺大の二人。3億円事件の主犯の父親役の夏八木勲の存在感もなかなか。でも、武田真治の非存在感と、怖いようななまめかしさについ目が行ってしまいました。
それで3億円事件ですが、あの事件では奪われたお金は一切使われてないということになっています。大谷さんもそう言ってました。映画の中では3億円は焼き払われたということになっています。このシーンはロマンチックな場面です。焼き払うという選択も、あの時代の全共闘の学生で、良い家のお坊ちゃんお嬢さんだったらあるかもしれないと、ある種の共感を持ちました。
ある種の共感というのは、「いったいあの3億円はどこにいっちゃったんだ?」というのが、私にとっては子どものときからの最大の謎というか、知りたくてたまらないことだからです。
お金に番号が振ってあるというのを3億円事件のときに、大人たちの話に聞き耳をたてて初めて知ったのです。強奪されたたのは家電メーカーのボーナスで、1万円札、5千円札、千円札、五百円札、百円札のうちなぜか五百円札だけ銀行が番号を控えていたとのことでした。1万円札を使わせるために、警察がそういう発表をしているのだと、大人たちが話していました。「お札だから埋めておくわけにもいかないねえ」とか「そのうち、お札を撒いてくれるといいんだけど」など、この事件は白バイ警官に扮した犯人が、あっと言うまに3億円を強奪し、怪我人ひとりも出さなかったというので、大人は子どもの耳を恐れずに話をしていたのです。私はこの時、お札には番号が書いてあることや、スイスの保険会社の保険がかけられていたことを知り、それからジュラルミンという金属の名前を覚えました。だから、今でもジュラルミンケースを見ると「あ、お金が入っているんだ」と条件反射的に、じっと見詰めてしまうことがあります。 お金は焼いちゃったというのは、ある程度の説得力もあるし、あの当時の学生運動のいたずらな空気に対する批評的な場面、つまりロマンチックだけど無意味ということで、それはそれで共感があるのですが、でも、ほんとうに3億円はなくなっちゃったの! と気になってしょうがないのです。
で、以下のようなことを考えてみました。 現金3億円を担保に、お金を3億円借り出す。これで犯人(もしくは犯人グループ)はマネーロンダリングができるわけです。で、3億円を貸した方は、その現金を時間をかけて小分けにして海外に持ち出す。それで海外で、外貨もしくは金などに交換する。こんなふうにすれば、たぶん、3億円は使ったということがばれずにマネーロンダリングできたのではないでしょうか?昨日のうちに、これを思いついていたら、大谷さんと魚住さんのご意見を聞いてみたんですけどねえ。残念です。いつもあとから思いつくの。
大谷さんや魚住さんのお話を今朝になってあれこれ思い出してみると、3億円事件では刑事警察と公安警察の組織的な鍔迫り合いがあって、それで捜査が混乱したので未解決になったみたいなニュアンスがあったなあと、納得。映画を見たあとで、ジャーナリストとお話ができるという愉快な経験でした。
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