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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

幻の「海を感じる時」

2008年12月22日(月)

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 これまで何度か、韓国の詩人や作家から「あなたの本を読んだことがあるよ」と言われました。
「何語で読んだの?」
「韓国語で」
 という会話が何度か繰り返されて、ずいぶん以前に韓国で「海を感じる時」が出版されていたようだと言うことは知っていました。

 アンソロジー「うさぎ狩り」を出してくれたカン出版のチョン・ホンス社長が古本屋で韓国語訳「海を感じる時」をみつけてくれました。写真を撮影して届けてくれたのはエージェントの金承福さんです。五制文化という出版社から出ているのですが、この出版社はもう存在していないとのことでした。

 金承福さんによると、私はこの本の翻訳者と会って話をしているそうです。それから本の口絵写真には私のサインが入っていました。口絵写真は講談社の写真部が撮影したもので、講談社「海を感じる時」の初版に使われたものでした。2刷り以降からは別の写真が使われています。
 サインは横書き。本にサインを入れるときは、たいてい縦書きのサインを入れています、韓国版の口絵の横書きのサインは手紙もしくはファックスの末尾に入れたサインのような気がします。

 もし私が翻訳者に会って話をしているとすれば、翻訳出版の許諾もしているという可能性がまったくないわけではありません。口約束あるいは契約書にサインをしていても、すっかり忘れているということも考えられるからです。ただ、韓国版の装丁には覚えがないのです。契約のことは忘れても、出来上がった本が届けられれば、その装丁はまず忘れるということはないように、思えます。とくに漢字表記とハングル表記が混じっている宣伝文が入っていたら「へぇ」と思うはずで、やっぱり、これは幻の「海を感じる時」でしょう。

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