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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

ブランドとミシュラン

2007年11月20日(火)

 昨日、帰宅のタクシーの中で、ミシュランガイドを話題にしている番組を耳にしました。で、帰宅後、ネットを覗いてみると、ミシュランの3つ星を獲得したレストランが東京には8店もあるのだそうです。

 銀座通りは有名ブランド店ラッシュ。食べることと着ることにかけては、東京は世界でも有数のぜいたくな街になりだしているみたいです。それもこれも「家が買えないからだ!」という気がします。家は高すぎて、昔、フランスの首相に「日本人はうさぎ小屋に住んでいる」なんていう悪口を言われたことがありましたが、家にかけるお金を食べることと着ること、それに車にまわしてきた結果が、こんな風景を生み出したのではないでしょうか?

 私はブランドもミシュランのレストランの格付けも嫌いじゃありません。お金持ちはせいぜいお金を使って、それを眺める私たちを楽しませて欲しいと思います。バブル経済がはじけたあと、高級レストランで修行したコックさんや板前さんが、気楽な小さい店を開いて、あまり高くない値段でおいしいものを食べさせてくれたのをちょっと思い出します。そんなふうに、良い技術とか良い目やセンスがだんだんにすそ広がりになってくれれば、お金持ちが大散財をするのも悪くはないでしょう。

 最近、聞いた興味深い話は、城戸朱理さんが話していた「東京ガールズコレクション」の成功の件でした。デザイナーのほうの提案が強い高級プレタポルテではなくて、お客さんのほうの注文(こんなものが着たい、あんなものが欲しい)にメーカーが答えるというコンセプトで成功したのだそうです。「ほほう!」というわけで一度、「東京ガールズコレクション」を覗いてみたいなあと思っています。

 今のところは東京の贅沢は、パリの贅沢の模倣に過ぎないところがありますが、それでも、その模倣がどんどんその場所(街)と混合して、そのうちに「東京の贅沢」が生み出されそうな感じがしています。

 期待しすぎかな。でも、ブランドブームなんていわれたのが30年前で(田中康夫が「なんとなくクリスタル」を書いたのは私の学生時代でした)それから、いったいどうなるのだろう? と興味を持って眺めてきたのでした。

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