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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

月夜二題

2005年08月22日(月)

 8月20日は旧暦の7月の十五夜でした。大潮です。金沢八景でお月見をしてきました。翌日21日は十六夜の月を三浦海岸で見てきました。

 夏は海水の温度があがって膨張していますから、大潮の時の潮の満ち引きも大きくなります。金沢八景と数えられる八つの景色のうちのひとつに「瀬戸の秋月」があります。中秋の名月の晩には、瀬戸から見える野島の真上に月が上がるのですが、今月はまだやや東側に月が昇りました。ちょうど潮が満ちてまんまんとたたえられた平潟湾の上に昇った月を見てきました。周囲はマンションになっても、水の上には明るい月明りが落ちていました。

 翌日は三浦海岸の月。赤い月が昇り、中天を目指しはじめると、海岸の潮をどんどんと引いてゆきます。海の写った月の光は、やがて潮が引いた海岸の濡れた砂浜も照らし始めます。黒い砂が金色に光るのです。デジカメでもこれは写せません。月は空高く登るほど、少しずつ白くなって行きました。

 東洋ではこのうえなく美しいとする満月ですが、西洋ではこれを見ると狼になっちゃったりするですから、人間のものの感じ方って奇妙です。昔の人はほかに見るものがなかったから、お月様なんかをしげしげ見ていたという人もありますが、人間が作ったどんな仕掛けよりもきれいな月でした。

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