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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

真夜中のドライブ

2004年07月02日(金)

 子どもの頃、本というものがなかったら、とても辛い思いをしたかもしれません。本を読んでいて、なんとなく危ないところを通り過ぎたことが、何度もありました。少年事件のニュースを聞くと最初に思い出すのは、そういう記憶です。なんだか被害者もになれば、加害者にもなり、時には自分で自分を「病い」に追い込むようなこともあったかもしれないと冷や汗が出ます。最近では自分の息子や娘のぶんもあって冷や汗も2倍になっています。

 「テーマで読み解く日本の文学ー現代女性作家の試み」発刊記念シンポジウムは、皆様のおかげでたいへん賑やかで和やかな会になりました。どうもありがとうございます。子どもの頃、読書を慰めにしていたことが豊かな実りを迎えたという実感があったシンポジウムでした。

 シンポジウムの翌日は浦安のブライトンホテルで、大庭みな子さんを囲んで小さなパーティを開きました。こちらもゆったりとしたいいい会でした。私は車で浦安まで行ったのですが、帰りに津島佑子さんを池袋までお送りすることになりました。

 なんと津島さんは車の助手席がお好き。いや、ほんとうは運転免許をとりたいのかもしれませんが「年齢的には努力が必要だから」ということで、助手席で我慢といったところでしょうか。日ごろをお嬢さんの車に乗っているのだそうです。そうと解れば、私は助手席に人を乗せるのは大好きなので、首都高を銀座線から羽田線へ、さらに足を伸ばして横浜のブイブリッジへ出て、中華街でおそばを食べました。それからまた東京に引き返し、レインボーブリッジを渡ってきました。それよりも突っ走るとまた浦安に戻ってしまうので、真夜中のドライブはこの辺で終わりにしました。

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