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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

井戸の話

2005年06月27日(月)

 館山の家のすぐそばにつるべ井戸のある家があったのをふっと思い出しました。黒いタールを塗ったトタン板で屋根も壁も作った小さな家でした。家の戸口はひとつ。戸口の前につるべ井戸がありました。

 一度だけその家の庭に忍び込んで、つるべ井戸にあったバケツを落としてみたことがありました。からんかんかんかんと、派手な音をたててバケツは井戸の底に下りて行きました。井戸の覗き込んでみると、底には黒い水がたまっているように見えたのと、バケツの落ちる音がよく響いたので、誰か大人が出てくるのではないかという不安で、ついにバケツを引き上げることはできませんでした。

 その頃は私の家でも井戸水を使っていました。家の中にはモーターで井戸の水を引きこんでいましたが、外では手押しポンプで水をくみ上げていました。ポンプの柄を両手でつかんでじゃんじゃん水を出すと、今日のようにあつい日はほんとに気持ちが良いものでした。

 井戸水は夏は冷たく、冬は暖かいのです。

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