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首相官邸抗議集会の参加者数について
2012年08月06日(月)
物書きの仕事を30年もしていると、自然にジャーナリストや新聞記者の話を耳にするようになります。私はフィクションの作家ですから、自分自身では事件や出来事の取材をしたことがありません。ですから、東京新聞の「新聞を読む」のコラムでも自分自身が知りえたことの範囲に限って、過不足ないように、文章を書いてきました。1回目、2回目ともに、首相官邸の金曜日抗議活動についてについて書きました。ただ、それだけでは、今回の抗議活動の参加者数の発表がいかにひどいものであるかを、充分にお伝えできていないことが、ツイッターのやりとりで解りましたので、詳細をここに書くことにいたしました。
まずデモの参加者についてですが、これは以前、新聞がひどい批判を受けたことがあるのです。主催者側の発表する参加者数だけを報じて、民心を煽っているという批判でした。実際、主催者側がかなり水増しをした参加者数を発表するということも、まま、行われていました。それ以来、警察発表と主催者側発表を並列で表記するというスタイルが定着しています。この数字を見ていますと、おおよそ、主催者側発表の4分の1が警察発表というのが相場です。6月22日まではこの相場の数字が金曜日の首相官邸抗議集会にも出ていました。この時の警察発表の数字が1万1千。6月29日の警察発表の数字は、私の記憶ですと1万7千。TBSは20万人と報じ朝日新聞は10万人から15万人で、主催者発表は10万人でした。ユーストリームの中継映像を見る限り、7,000人程度の増加ということはありえません。もっとたくさんの人がいました。
今回の金曜日首相官邸前抗議や、国会包囲行動、それから代々木公園で行われた抗議集会の警察発表に疑問をもたれたフリーのジャーナリストや、一般の参加者がいるようで、所轄の麹町署に問い合わせたり、警視庁に問い合わせたりして「警察は集会参加者数を発表していない」ということが、この時点でツイッターの情報から解ってきました。また新聞も「警備筋」や「警察筋」という言い回しを使って、それが警察の正式発表ではないことを匂わせるようになってきました。こういう書き方を新聞がする時は、たいてい記者クラブ周辺から出てきた数字だろうと、検討がつくのです。それが警視庁記者クラブなのか、それとも、国会記者クラブなのか、新聞記者の経験のない私には解りかねるところがあります。
記者クラブについてはあしざまな批判を耳にすることも多々あるのですが、その言い方をそのまま鵜呑みにするわけにもいかず「記者クラブ筋から流れてくるいいかげんな数字」という書き方を遠慮していたのです。 そのたぶん警視庁記者クラブの方面から流れてくる、警察筋の金曜抗議集会参加者数の数字だけを並べると、7月に入って抗議集会は縮小の傾向ということができます。この数字は記憶していないので、新聞の日付順に見てください。産経新聞は実際に「金曜集会は縮小の傾向」と報じていました。きっと警視庁記者クラブ筋の数字を信じて記事を書いたのでしょう。
さて、警察の警備ですが、抗議集会については花火などのイベントの雑踏警備の方式を用いていると、これは朝日新聞が報じていました。実際、金曜日抗議集会や国会包囲集会を歩いてみると、雑踏警備と、政治的集会警備の両方の方式を混ぜて使っている様子です。単なる雑踏警備では、公安警察がずらりと並ぶということはありませんが、金曜日の首相官邸前には公安警察がずらりと並んでいました。雑踏警備には人出の予想と人の流れの予想が必須の事項になっています。「警備上の理由から参加者数を発表できない」という警察の言い分は、正直なものでしょう。また、人の数と人の流れはかなり精緻に把握しているはずです。交通量調査の手法を使えば、それは可能です。私が歩いた国会包囲抗議集会の印象で言えば、人の流れを把握して、あっちこっちで横断歩道を遮断したり、歩道を一方通行にしたりして、人が大勢集まらないような工夫をこらしていました。東京ディズニーランドでは、アトラクションに並ぶ人の行列が長くなると迷路方式の柵の位置を変えて人の流れを作るというやり方をしていますが、あれに似たことを警察は首相官邸と国会周辺でしていると想像して下さい。
一方、主催者側ですが、これは組織動員をかけたデモのような水増し発表はしていないと、私は感じています。10万人の規模になると中継映像だけでは判断しにくいところもありますから、単なる印象の判断に過ぎないので、正確なところはわかりません。ただ、主催者発表よりもテレビ、新聞のカウントのほうが上回るということが、前代未聞です。 大阪では主催者発表に対して警察発表が50人上回るというようなこともおきたと、これはツイッターで流れてきた話です。全体で300人から400人の規模ですが。
いずれにしても、どうやら記者クラブ方向から流れてくる東京の警備筋とか警察筋の出す最近の数字は主催者発表の10倍から20倍の差のあるもので、集会参加者だけでなく、これはもう警備をしている現場の警察官にも無礼千万な数字になっています。こんな数字を示されて積算根拠も尋ねなければ、質問の方向を変えて、動員された警察官の人数や警察車両の数を質問しない記者もどうかしています。 さらに言えば、こうした警察筋と言われる情報をもとにコメントをする政治家のコメントも現実からかなりずれたコメントになる様子が見受けられます。きっと政治家は忙しいから、私のように、玉石混合のネット情報を漁ったりする暇はなく、新聞だけ読んでいるのかもしれません。(すいません、おおあわてで書きました。原稿の督促の電話がきちゃった)
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