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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

仙台行ってきました。

2012年03月19日(月)

 2011年3月11日の東北地方では小雪がちらついていました。テレビの中継映像で小雪がちらつくのを見るたびに、なんだか身体の応えたものでした。だから寒いうちに一度、津波の被害を受けたところを見たいのだけどと、佐伯一麦さんにお話していたのに、1月2月はさまざまな用事に追われっぱなしで、こりゃあ、桜の花の咲くころにした出かけられないかなと半分あきらめてました。ところが、佐伯さんがちゃんとそれを覚えていてくださって、声をかけてくださいました。

 17日、仙台に行ってきました。佐伯さんの話では、津波の被害を受けた名取川河口付近はそんなに広くないからと言うことで、半日もあれば見て歩けるよとのこと。私はテレビの中継映像から、平野全体が津波に呑まれたような印象を持っていたので、そこが食い違っていました。改めて中継映像を探して見てみました。その映像の中で「津波は河川を10キロくらい遡ることもあります」という解説が流れていました。それでなんとなく10キロ以上と思い込んでしまったようです。中継映像を見て、改めて驚いたのは津波の速さでした。15分ほごの時間に海岸線から5キロくらいまで津波は到達していました。ものすごい速さですが、記憶のなかでは、これが長時間だったような錯覚が生れてました。

 広さとか速さとか、テレビ中継の記憶にはいろいろと錯誤が混じっているようです。

 仙台で、震災の時も店を開け続けていたという朝市をちょっとのぞきました。今は山菜の季節。東京ではみかけない山菜もちらほらと。お魚屋さんには「かすべ」もありました。

 仙台駅で佐伯一麦さんと待ち合わせ。常磐線で名取まで。常磐線は亘理から浜吉田まではまだ復旧していません。原ノ町から木戸までは福島原発事故のために不通でした。考えてみると、今度の地震の震源域の南側半分くらいは常磐線の線路と平行しています。

 電車の中から仮説住宅が見えました。聞いた話だと、仮設住宅も初期のものは、簡略な造作で、あとからできたものの中には建築材料もしっかりしたものがあるとのことでした。私には都市近郊の新興住宅地の中に仮設住宅があることがちょっとしたショックでした。いかにも念願のマイホームと言ったおもむきの誇らしげな様子の住宅と、仮設住宅が混在していた仙台郊外でした。

 名取駅から閖上までのことはまた改めて書きます。

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