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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

新幹線遅延

2011年09月25日(日)



 9月21日(水曜日)の東京は台風15号の通過のために交通機関が大混乱しました。台風15号は浜松へ上陸。そのあとは陸上を進んだのですが、勢力はさして衰えませんでした。東京付近を通貨したのは、夕刻の帰宅時間で、どこの駅も大勢の乗客で大混乱したそうです。

 23日は久しぶりの大阪行き。東京駅の切符の切符売り場は閑散としてました。「今日は静かですねえ」と駅員さんと話をして、乗り込んだのはいつもの20時50分の大阪行き「のぞみ」。この時刻の「のぞみ」に乗ると、大阪には23時20分頃に到着して、日付が変わらないうちにホテルへ入ることができます。いや、できるはずでした。

 「のぞみ」が臨時に停車したのは浜松駅。「豊橋駅付近で新幹線と人が接触しました」のアナウンスがありました。1本前を走っていた新幹線が、豊橋駅から3キロ付近で停車しているとのことでした。「警察がまだ現場へ到着していません」のアナウンスもありました。新幹線が人と接触したという以外に詳しいことは判りません。ふっと気付くと、私が乗っていた車両の隣りに、もう一本、新幹線が停車していました。これは、けっこう時間がかかるかもしれないと、予感しました。

 先駆車両の車体の検査は済んでいますが、警察の現場検証が続いています。そういうアナウンスがあって1時間半ほどは何もアナウンスはなし。通路では車掌を捕まえて事情を聞く人も出てきました。外を見ていると、浜松駅へ、さらに3本目の新幹線が入ってきました。これがけっこうなスピードで、一瞬、追い抜かれるのかと思えるほどでした。いささか「むっ」としたのですが、この3本目の新幹線も減速して停車。深夜の浜松駅に3両の新幹線が並らびました。23時を過ぎていました。

 それからも何度か「警察の許可を待ってます」というアナウンス。新幹線と人が接触したというアナウンスの段階で「ああ、人身事故かな」と思っていたのですが、なんだか奇妙です。東京の電車で「人身事故」と言えばたいてい飛び込み自殺を意味しているのですが、「人と接触」という表現は聞いたことがありません。

 あとで判ったことですが、豊橋駅の防犯カメラに線路へ降りる男の人の姿が映っていたとのことでした。どうやら、走行中の新幹線に接触した人は、性別の判断もつきかねるほどの状態になってしまったようです。ニュースには類推的な書き方がされていました。
 警察の検証が長引いたのは、ひょっとすると新幹線の線路内へ何か危険物でも持ち込まれたというような疑いもあったからなのかもしれません。

 2時間19分ほど遅れた新幹線がようやく動き出しました。豊橋駅は徐行して通過。駅を過ぎてもしばらくはゆっくりと進んでいました。名古屋駅に到着したのは午前1時。すでに在来線は運行していませんから、名古屋駅には休憩用の車両が用意されているとのことでした。名古屋から意外なほどたくさんのお客さんが乗り込んできました。名古屋からは各駅停車になるとのことで、岐阜羽島、前原、京都と停車しました。大阪駅到着は午前2時前。大阪駅にも休憩用の車両が用意されていました。「朝5時まで御休憩いただけます」のアナウンス。5時になれば各方面への始発が動き出すのでしょう。

 改札口は大混雑。「特急料金の払い戻しがされます。改札付近の係員から、遅延証明をお受け取り下さい」と繰り返しアナウンスされていますが、改札付近には、それらしい係員の姿は見当たりません。あるのは自動改札だけ。うっかり自動改札に切符を入れて、切符がそのまま機械の中へおさまっては困ると思ったのは私だけではないようです。おかげで改札を滞った人でごった返していました。で、通りがかった駅員に事情を聞いた人がいて、自動改札へ切符を入れると「遅延払い戻し」の印字がされるのがわかりました。そうなら、そうと言ってくれればいいのになあと、ぼやく人も。果たして自動改札へ切符を入れて、ちゃんと切符が出てくるのかしらと、少し疑いながら切符を入れたところ、出てきたのが冒頭の写真の切符です。赤い字で遅延の印字がされていました。

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