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中沢けいコラム「豆の葉」
   
 

さくらの実の熟するころ。

2011年06月11日(土)



 外濠の土手の桜。毎年、小さな実をつけます。今年は例年にもましてたくさんの実がなっているような。そんな気がするのは、いつもの年よりも注意深く、外濠のさくらの変化を、こちらが見ているせいかもしれません。

 桜の実は小指の頭よりも小さい。黄色い実が赤くなり、それから赤黒くなるとヒヨドリがやって来て実をついばみます。だから外濠の石畳はヒヨドリの黒い糞でまだら模様になっています。うまくしたもので、雨がふればヒヨドリの黒い糞はみな洗い流され、あとには桜の種が無数に残っています。目の良いヒヨドリは、桜の実が食べごろになるのをほんとによく見つけるものです。



 ヒヨドリの大宴会が終わる頃には、泰山木の花がぽっかりと開きます。いつもの年は泰山木の花が突然開いて驚くのですが、今年は細い花芽がついたときから、目がいっているということは、やっぱり注意を特別に払っているということでしょう。人間の世界はなかなかうまくいかない事も多いのですが、自然の世界はちゃんと地球は公転して、冬が過ぎれば春が来て、行く春を惜しんでいる間にも夏の支度は整うようになっているようです。

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