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昭和文学会
2017年06月12日(月)
FBにばらばらに書いたものを拾いました。
昭和文学会で石川文洋さんのお話を聞いてきました。ミュージカル「ヘアー」日本公演用に寺山修司脚本があったという秋吉大輔さんの発表、石ノ森章太郎作品の背景にベトナム戦争があったという森下達さんの発表も興味深く聞きました。良い夜風が吹いてます。 久しぶりにちょっと日本酒をいただいたら、空のお月様がきれいに見えました。
昭和文学会では川村湊さんが「日本人のベトナム体験」と題して開高健、日野啓三、近藤紘一の諸作品を挙げていた。朝鮮戦争では日本社会の共通認識形成につながる文学作品を乏しいという指摘に関連して朝鮮戦争は今や「忘れられた戦争」「消されがちな戦争」と指摘。私の考えもほぼ同じ。 昭和文学会は会員になっていて、秋季大会のテーマは「モダニズムの詩人」とのこと。これもちょっと発表を聞いてみたいなあ。 質問者の中に日野啓三を研究しているという人がいてちょっとうれしかった。小中学校時代を慶尚南道密陽で過ごし、1942年にソウルに移って、龍山中学へ入学。敗戦で広島県福山市に戻り、東大文学部卒業後、読売新聞記者。軍政下のソウル駐在。ベトナム戦争当時のサイゴン駐在。
朝鮮戦争と言わず「朝鮮動乱」と言っていた。そして「朝鮮動乱」も「ベトナム戦争」も大人の日常語の中の言葉で、雑談のタネになっていた。米軍基地のある横須賀に近い横浜市内に家があったせいもあるかもしれないけど、過去の戦争ではなく「今の戦争」が大人の関心を集めた時代を知っている。私のそういう子どもの耳を持っていた最後のほうへ世代なのかな。 菅笠をかぶって竹の棒を担いで遊んでいるとベトコンちゃんとあだ名をつけられたし、夢中になって西瓜をかじっているとビアフラの子どもみたいだと呆れられたのが小学生の頃。大人が「今の戦争」についての関心を持っていた時代(1960年代後半)の「子どもの耳」についてちょっと考えている。
開高健「ベトナム戦記」
2017年06月04日(日)
開高健「ベトナム戦記」にこんな場面がある。 朝鮮戦争にも従軍したヤング少佐は、豊かな社会で暮らす米国は無関心に支配されていると語る。ベトナムのジャングルで「犬のように死んでいっても米国の大半はそれを知らない」と。以下、引用。 「「タイム」もニューズウィーク」も「ライフ」も、それに「ポスト」もや「ニューヨークタイムズ」だって、毎号のようにベトナム戦争をとりあげているじゃありませんか。それで知れないというのはどういうことです。アメリカはここで何年たたかっているんです?」 少佐ははげしく舌うちし、いたましげにうなだれた。「読まないだよ。アメリカ人は」「読まない?!」「「読まないのだ。小学校の先生だってろくに読まないのだ。最近の世論調査でその数字がちゃんとでている。学校の先生だってろくに読まないんだよ。わかるはずがないじゃないか。そうか。君はまだアメリカへいったことがなかったんだな。アメリカ人は読まないんだよ」 とつぜん、155ミリ無反動砲が咆え出した。夜を裂き、土をふるわせ、何発も何発もたてつづけに砲弾は暗い南西めだしてとんでいった。ヤング少佐はきれぎれに弾音のなかで叫んだ。 「……おれたちは孤立しているんだ。だれにも知られずに死んでゆくんだ。ごくわずかの人間にしか知られていないんだ!」
この記事はFBにあげたものです。FBで皆さんの御感想をいただきました。
FBで皆さんが「読んでいない」というところに興味と共感を感じられているのは私も同じです。で、私のこのくだりを読んで南スーダンに派遣されていた自衛隊の皆さんのことを連想しました。昨年7月には自衛隊が派遣されているジュバでひどい戦闘が起きていましたが、日本の多くの人は無関心でした。また日本政府はジュバで自衛隊の安保法制成立による「駆けつけ警護」を実施させようとしていました。 今年2月には国会で自衛隊の日報が隠されていることが問題化しました。しかし自衛隊日報問題は棚さらし状態です。 幸いに自衛隊のみなさんは5月末に無事に帰国されましたが、ジュバではっベトナム戦争当時のヤング少佐が感じていたのと同等の孤独にさいなまれていたに違いありません。 北支や南方へ戦線を拡大した第二次世界大戦当時の日本軍の孤立や飢餓とはまた質をことにする悲惨がすでに始まっていることを、このくだりから感じたのです。開高健がベトナム戦争を取材したのは1965年(昭和40年)のことでしたから、それから50年の歳月が過ぎています。ですから、ここで表現されているヤング少佐の孤独もすでに往時のロマンテックなものになっているかもしれません。
上野博物館のユリノキ
2017年05月28日(日)
浦和から熱海行きの電車に乗ったら、池袋経由ではなく上野経由だった。じゃあ、上野でもいいやと上野の博物館へ行ってみた。常設展の展示の内容が大幅に変わっていた。「アイヌ、琉球」の展示室ができていた。かわらないのは本館前のユリノキ。お昼を韻松亭で食べちゃった。
こんにゃくの好きなたぬき
2017年04月29日(土)
大阪にはこんにゃくが好きなたぬきが住んでいるんですって(比喩じゃないからね 笑)生玉神社に祠があるらしい。で、大阪はこんにゃくの使い方がうまあなあと。牛スジとコンニャクのお好み焼きが美味だったので、うちでも作ってみることにしました(子豚)
うすいえんどう
2017年04月12日(水)
和歌山県産の「うすいえんどう」です。関東ではあまり見かけません。グリーンピースより少し大きめで皮が薄くほくほくしています。
はけの湧き水
2017年04月07日(金)
武蔵野は関東平野の西に広がる台地です。いたるところに河が作り出した「はけ」があります。「はけ」は崖とほぼ同義語。大岡昇平は「武蔵野夫人」で小金井の恋ヶ窪あたりの景色を描いていますが、私の自宅がある成増も武蔵野の端くれ。家の裏手は白子川。関東の川では珍しく南から北へ流れ荒川へ注ぎます。西側には「はけ」が。この10年で、「はけ」はだいぶ削られました。それでも「はけ」から湧き水が流れ出ています。戦前はこの水で鱒を養殖していたそうです。
昨日、卒業式でした。
2017年03月25日(土)
昨日、卒業式でした。御卒業の皆さま、おめでとうございます。新しい時代を切り開き、豊かな時代精神を築くのは皆さまのお力にかかっています。創作の精神は人文学の基礎を支えています。人が人らしく生きるための学問が人文学です。皆様の輝かしい未来があることを祈ってお祝いの言葉にかえます。
那覇から高江へ
2017年01月29日(日)
那覇で100日間以上の長期身柄拘束をされている高橋さんに接見してきました。お元気ですと言いたいところですが、ちょっと気になる症状が出ていました。右手の甲、小指と薬指よりやや下がったところが、こんもりと腫れていました。腫れだした時には痛みがあったそうです。現在は押すとじいんとした痛みを感じるということでした。北部病院で診察を受け原因が分からないので大学病院での診察を受けることを勧められたとのことでした。那覇で拘束されているのですが、大学病院での診察はまだ認められていないそうです。長期に渡る身柄拘束は不当であり、早期の釈放を願っています。
高江にも行ってきました。写真は高江北部の高台から、かつて材木を積みだした港を見下ろしたところ。この高台に明治の末に最初の学校が作られた記念碑がありました。かつて高江は陸路がなく海路を使っていたそうです。本島北部特有の赤土がかおを出している崖がありました。緋寒桜は2分咲き。この桜が咲くころは雨の季節。
島バナナとオスプレイ
2017年01月21日(土)
新沖縄文学賞の授賞席出席のため沖縄へ行ってきました。高校時代の知人に南部戦跡と北部の高江・辺野古へも足をのばしてきました。 今年の沖縄本島は台風の直撃がなかったので、島バナナはよくできたそうです。ブーゲンビリアも花盛り。黄色い実は「台湾〜〜」と言うのだと教わりましたが、覚えられなかったので、あとで調べておきます。高江で沖縄そばを食べた「むーらん」をいうお店の庭先で撮影。 高江では建設中のヘリパッドが注目されていますが、すでに完成して使用されているヘリパッドが複数あり、「ムーラン」の近くにはN4と呼ばれるヘリパッドで軍用ヘリやオスプレイが離着陸の訓練をしていました。最初から「ベテラン」はいないわけで、どんなベテランパイロットも最初は初心者。軍用ヘリやオスプレイの離着陸訓練をしている高江上空は「空の教習所」でした。 初めてヘリモードで低空を飛行するオスプレイを見ました。唸るような音で飛行していました。
スキャンダルとフェイクニュース
2017年01月12日(木)
ロッキード事件発覚は1976年2月。それから41年目。昨年は田中角栄の本がよく売れたそうだけど、「政治と金」というテーマがパターン化したスキャンダルになった嚆矢がこの事件。以来、政治家追い落としのために「政治と金」のスキャンダル報道が使われるようになった。 一方で新しく登場したのが、デジタル技術を使ったフェイク・ニュース問題。フェイク・ニュースはトランプ氏当選の米国大統領選挙で注目を集めるに至ったけれども、すでに日本ではヘイトのネタを作り出すフェイク・ニュースはまとめサイトに蔓延していた。「在日特権」「慰安婦」「沖縄差別」など数えきれないほどのフェイク・ニュースがまとめサイトでくり返し流されている。 菅野完氏に関して「疑惑多い経歴『菅野完著「日本会議の研究」の狙いと虚構』と題した冊子が国会議員に配布され、出版差し止めの仮処分が認められたというのは、どちらかと言えば前者のスキャンダルを流して相手を潰すという旧来型の手法に属しているように見える。 東京MXテレビの「ニュース女子」でののりこえねっとと辛淑玉氏の誹謗中傷報道はローカルテレビ局を使った典型的なフェイク・ニュース。 スキャンダルによる敵の追い落としとフェイクニュースによる追い落としとこのふたつに、情報取得に慣れていない人々の興味関心が加わり三つ巴の様相を呈してきている。新聞でも記事と広告の区別がついていない読者はわりに多いのだけど、そこにネット情報やデジタル化で多局化したテレビが加わるわけ。これは物凄い戦いをまのあたりにすることになりそう。
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