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人気のセ、実力のパ
2009年08月21日(金)
民主300議席に迫る勢いという選挙報道を見ていて「人気のセ、実力のパ」という言葉があったのを思い出しました。巨人軍が常勝していた時代のプロ野球を評した言葉です。人気があるのは常に巨人軍が勝つセ・リーグ。しかし、実力があるのは各々のチームが競い合うパ・リーグ。野球にそれほど詳しくない私はそう聞いていました。
今、思えば、巨人軍常勝時代は自民党の登り坂時代でした。あるチームが常に勝っていれば、あまり野球を知らない人でも常勝チームのファンでいられるというわけです。ほんとうにおもしろい野球の試合が見たい人にとっては、飛びぬけて強いチームがあるのは「退屈でしかない」ということになるでしょう。
小選挙区制が導入されたとき、日本のいずれ2大政党の時代が来ると聞かされました。以前の中選挙区制ではなかなか2大政党にはならないのだそうです。だから、今度の選挙で自民党大敗で、民主党が政権与党になったとしても、そんなに驚くことはないのでしょう。小選挙区制という制度が機能していることを示しているのでしょう。それがどう野球に結びつくかと言えば、巨人常勝のセ・リーグ人気時代が終わって実力のパ・リーグ時代が来るみたいなもんだなあと、思ったからでした。 もっともスポーツの世界のほうがずっと進んでいて、常勝チームのないサッカーのJリーグ人気が野球の人気に優るところが出てきたのは、もう20年くらい前でした。それから細川内閣が出来て、村山内閣が出来て、さらに小泉人気と考えると、もうずっと前に2大政党の時代は始まっちゃっているとも言えるのでしょう。
それほど、ご心配はございません。
2009年08月17日(月)
再入院するにあたって娘が付き添おうかと言ってくれていました。そんなに大袈裟にすることもないだろうと思っていたのですけど、ちょっと考えなおして、それほど大事じゃないときに付き添ってもらったほうが、何かの時の経験になるからいいかもしれないという気になりました。
娘がちょうどお盆で、休暇を貰っていたのです。ただそのために前の日にかなり遅くまで会社で残業をしていました。で、当日は眠そう。もともとあまり大袈裟にしたくないなぁという心理が働いていたので「眠かったら寝ててもいいよ」と、一人で荷物を持ってえっちらおっちら病院へ出かけました。それまで何度も「それほどご心配はありません」とも言われていたのでした。
で、病棟について、看護師さんやお医者さんの説明を聞いているうちに、だんだん、これは大事だということに気づきました。「それほどご心配はございません」という文句の中で、重要な意味があるのは「それほど」の部分で「ご心配はございません」は患者を落ち着かせつためのいわば「つけたし」だと気づいたのです。
時々、あることで、辞書的には大きな意味もない「接頭語」や「感嘆詞」「接続詞」などの裏に膨大な意味が隠されていることが。文学はそれを発見して研究するのですけど、世の中一般では、広く使われている技法ですなんて、解説してもしょうがない。「それほど」の部分に隠された様々なアクシデントについては、私が聞いておくよりも娘に聞かせておいたほうがいいことがたくさんありました。だって、検査のリスクに含まれる脳梗塞などを起こしたら、私は何も言えません。あ、失敗したなあと多少あわてたしだいです。ま、娘は午後から病院にやってきて、おおよその説明は聞いてくれましたけど。
私としてはあまり怯えたくいし、大袈裟にしたくないのですけど、親としては、こういうときはちゃんと子どもに頼っておかなくちゃいけないのかなと思いました。なぜか頭の中に、法政大学の何某先生が現われて「子どもに頼らないのは、それは子どもの学習権の侵害です」と演説してました。嫌だねえ。学校なんぞに出ていると、学習権なんて新語が飛び出してくるし、造語も次から次へとあふれるし。 「老いては子に従え」って、そういう意味だったのかと、なんとなく感心。まだ、ちょっとお婆さんの演技研究が足りないようで、これは研究の価値ありです。子どもの学習権を侵害しないように、研究しなくちゃ。でも私の親はどちらも乱暴でした。だっていきなり葬儀屋とお寺さんの研究という課題を出したんだもの。ま、先生の中にも乱暴なやり方をする人もいることだし、本人がカリキュラムを選べるわけでもないから仕方ないか。
頼朝公御年6歳のみぎりのシャレコウベ
2009年08月16日(日)
「頼朝公御年6歳のみぎりのシャレコウベ」は落語に出てくるいかさま骨董屋のせりふですが、私、自分の御年6歳のみぎりのシャレコウベを見たことがあります。 学校の廊下で転んで、脳震盪をおこし、レントゲン写真を撮ったのです。医師の説明の時に、母と一緒にそのレントゲン写真を見ました。母は一言。 「まあ、なんて怖い顔をした骸骨でしょう」 って。だいたい骸骨は怖い顔に決まっているように思えるのですけど。医師の説明はすっかり忘れましたが、母の一言は今でも忘れられません。
で、こんどは自分の心臓が動いているところをしっかりと見てきました。心筋梗塞を起こしたときに受けたステント手術の経過を見るための再入院検査を受けてきました。心臓ってのも、生まれる前から働き出して、昨今の脳死という定義を用いれば死んでからも働き続けるのですから、たいしたものです。
ステントが再狭窄を起こしていないかどうかを調べる検査だったのですが、方法としてはステントを入れる手術を同じ方法です。その施術で500人に一人くらいは血栓が脳へ飛んで脳梗塞に罹患する人がいるそうです。500人に一人!でも脳梗塞が起きたらその人にとっては100パーセントの確立になるわけで。それからステントの再狭窄は30%から40%の確立。3人に1人は再狭窄しているってことですね。 なんでも血管に入れたステントを血管の壁が内部に取り込もうとして、結果として血管が狭窄してしまうのだそうです。
なぜか、私はフェンスの際に生えていた楠が、幹の中へフェンスを取り込んでしまう場面を思い浮かべました。
「そういう現象って、健康な反応ですよねえ?」 と説明をしてくれた医師に質問ですと 「生理的には健康な現象です」 というお答えでした。
生理的には健康でも、心臓にとっては冗談じゃないっていう現象だとのこと。 人間の社会では部署ごとにたいへんがんばると、全体的にはとってもへんてこりんな不都合が起きているということがありますが、人間一個の身体の中でも同じようなことが起きるわけねと、納得。
そんなこんなで、再入院して検査を受けてきました。今度は前と違って、ちゃんと全部解っているのが「嫌だなあ」と思っていたところ、またもや検査の前にお薬が出てきました。なんでも「ちょっとぼうっとする」お薬だそうです。小さなカプセルがひとつ。円くて小粒なやつがひとつ。あとはちょっと角張った小さいお薬。この3粒を飲むと「ちょっとぼうっとする」のだそうです。
そういうわけで、御年6歳のみぎりのシャレコウベに続いてもう50年も働いている心臓の動いている写真を見てきました。母がいたらなんて言うかしら? 「まあ、なんて丈夫の心臓だこと!作った私に感謝しなさい」なんて言うのかしら。
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